ツッコミどころ満載のNHK紅白は”大ボケ”コンテンツ|プチ鹿島コラム
オヤジジャーナルは「紅白歌合戦」が大好きだ。
「変質するNHK紅白…出場431人、特例だらけ、辞退続出 」(日刊ゲンダイ・11月28日)
と書いた翌日に、
「松たか子産休でMay J.にのしかかる紅白“レリゴー”の重圧」 (日刊ゲンダイ・11月29日)
と書く。「もはや終わり方の問題だ。 」とする一方で「紅白の重圧」を心配してしまう。
と書く。「もはや終わり方の問題だ。 」とする一方で「紅白の重圧」を心配してしまう。
オヤジはなぜ紅白に熱心なのか。ひとつの想像としてオヤジジャーナル世代にとって紅白は大晦日に家族みんなでコタツで見る大権威だった。だからこそ馬鹿にし甲斐のある対象でもあった。しかし現在はそこまで紅白に熱い思い入れを持つ人のほうが少なくなった。
最近、紅白の視聴率が持ち直しているのは紅白自体が変革をしたわけでもなければ格別おもしろくなったわけではない。視聴者側に特別な関心がなくなったのだ。紅白という「ベタ」を淡々と受け入れている。
だからオヤジジャーナルでの熱い紅白論議は貴重だ。みんな注目していてほしい。きっと年明けには「紅白、毒舌ぶった切り」という相変わらず陳腐なコラムを「毒舌コラムニスト」がオヤジ週刊誌で発表してくれるから。
NHKが誇る「大ボケ」キラーコンテンツ
そんなことより紅白はツイッターと親和性が高い。ここ数年それを感じる。
多くの人たちが「同じ時間に同じモノを見る」稀有な瞬間であり、わいわいツッコミたいツイッターと相性が良いのだ。たぶん『FNS歌謡祭』のほうがおかしなことはやっているのだけども、紅白のほうが「そこに集まってる人」が圧倒的に多いからSNSで盛り上がる。
考えてみれば紅白は存在としてずっと「大ボケ」だった。
昭和の紅白は「ふだんおカタイ人(NHK)が大晦日にハシャいでみせる」お祭りで、「野鳥の会」とか「南極からの電報」の大げさや気恥ずかしさが、大晦日というハレの空間で相殺された。
そのお役所祭りに漂う伝統や古臭さが昭和の終わり頃から本気で馬鹿にされ、紅白はしばらく低迷した。
しかしここに来てそれらのダサさがいい具合にSNSというツッコミツールにハマったのだ。
紅白を本気で嘲笑する週刊誌のコラムより「大ボケ・紅白」をツッコミつつ楽しむというSNSのほうがトンチが効いているのだ。
NHKは「紅白」のほかに「大相撲」「のど自慢」という大ボケコンテンツを抱えている。気が抜けない。
著者プロフィール
お笑い芸人(オフィス北野所属)
プチ鹿島
時事ネタと見立てを得意とするお笑い芸人。「東京ポッド許可局」、「荒川強啓ディ・キャッチ!」(ともにTBSラジオ)、「キックス」(YBSラジオ)、「午後まり」(NHKラジオ第一)出演中。近著に「教養としてのプロレス」(双葉新書)。