自民党”大義なき解散”でも300議席超える勢いのワケ|プチ鹿島コラム

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自民党”大義なき解散”でも300議席超える勢いのワケ|プチ鹿島コラム
 先週の新聞各紙「自民300議席超える勢い」という予測には「え?」と思った人は多いだろう。もしかしたら安倍首相がいちばん「え?」と思ったかもしれない。

「大義なき解散」と批判だらけだったのに、いざ出てきた最初の予測が「自民300議席超える勢い 衆院選・序盤情勢調査」(朝日新聞・12月4日)という数字だった。朝日だけではない。同じ日に毎日、読売、産経も一斉に報じた。

 朝日の調査の仕方は「2、3の両日、約6万人の有権者を対象に電話調査を実施し、全国の取材網の情報も加えて選挙戦序盤の情勢を探った。」とある。

 ここで頭に浮かぶのは、今どき平日に固定電話にかかってきたアンケートに答える人って本当に世論なの? むしろ特殊じゃないの?という疑問だ。でも、この電話世論調査は意外にも大ハズレがないのも事実。毎回選挙予測が新聞で報道されるが、おおよそ結果と合っている……。

 これは視聴率調査と同じ理屈なのかもしれない。「スープの味見をするのに鍋のスープを全部飲む必要はない。スプーン一口でも味は同じ」というアレ。スープ理論は確かにわかるが、でもやっぱりひっかかるのは「なぜ固定電話にかかってきたアンケートに答えた人の答えが選挙結果と合致するのか」という謎だ。

 考え方を変えてみる。こう想像したらどうか。電話アンケートにわざわざ答える人は、実際に選挙にも行く率が高い。そして投票所でも電話アンケートと同じ答えを出す。そしてここが重要だが、仮に投票率が低くなればなるほど、投票所に行くこの層の答えがそのまま反映されるのかもしれない。

平日昼間、固定電話で世論調査に答える層の正体

 この層の正体として思い当たるのは「年配」である。平日昼間に固定電話に出てちゃんとアンケートに答える人。時間に余裕があって律儀な人。そもそも固定電話を設置してる人というのも少なくなってきているなか、アンケート電話を切らずに答えるのってかなり律儀。この層については想像でしかなかったが、最近「あ、もしかしたらこれか……」ということがあった。

 私が出演している『荒川強啓デイ・キャッチ!』(TBSラジオ)の12月3日放送分で「皇居の乾通りの紅葉、一般公開」というニュースを扱ったのです。この一般公開のニュース、私は全然知らなかった。しかし実際に現場に行ったら人、人、人。しかも90%以上は年配の人びと。初日の3日は、午前9時の時点でおよそ5000人が皇居の坂下門前に列を作ったという。

 で、現場で私は聞いてみたんです。この一般公開の情報をどこで知ったのですか? と。そしたらほとんどの人が「新聞」と答えたのだ。ちなみに宮内庁のHPでは逐一情報をアップしていたが、10名くらいに聞いたなかで「HPで見て調べた」と答えた人はわずか1名だった。他はすべて「新聞」。今の時代、きちんと新聞を隅々まで読んでる人たちがここにいたのだ!

 たぶん、皇居の紅葉一般公開初日に駆けつけた年配の人の多くはSNSはやっていないだろう。ネットの「圏外」にいるだろう。でも選挙は絶対に行くのだろう。

「紅葉」も貴重でしたが、「固定電話の世論調査に答える人」も初めて見ることができたのかもしれません。

著者プロフィール

putikashima

お笑い芸人(オフィス北野所属)

プチ鹿島

時事ネタと見立てを得意とするお笑い芸人。「東京ポッド許可局」、「荒川強啓ディ・キャッチ!」(ともにTBSラジオ)、「キックス」(YBSラジオ)、「午後まり」(NHKラジオ第一)出演中。近著に「教養としてのプロレス」(双葉新書)。

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