【待機児童問題】「保活」しないと入れない日本の惨状

デイリーニュースオンライン

待機児童問題の解決は急務だ
待機児童問題の解決は急務だ

 親が子どもを保育園に預けるために行う活動を保活(ほかつ)などとも言うようですが、東京都内の保活はまさに苛烈さを増しているという。実際、私も子どもを保育園に預けていますが、現在の施設に預けるまでにはさまざまな申告が求められました。特に、両親の年収から就労時間といった勤務条件に関する詳細は事細かく求められ、当初は何でここまで聞くのだろうかと多少の疑念を抱いたものです。まぁ、現在の待機児童問題を鑑みると、仕方がないことなんでしょうが……。

 現在の待機児童数は、厚労省の発表によりますと4年連続で減少し、平成26年4月1日の時点で、21,371人と昨年より1,370人減少しています。何だ、良くなっているじゃないかと一瞬思ってしまいそうになりますが、一概にはそうとは言えず、一部の地域では逆に悪化している地域もあるようです。中でも、その数が100人以上増加した地域として、世田谷区(225人増)、大田区(175人増)、熊本市(139人増)などを上げておりますが、中でも世田谷区は1,109人と深刻で、二位の大田区613人の2倍近い待機児童を抱えております。

 このため、この保活にも一層熱を帯びてくるわけですが、先日、父母会があった時にちょっと信じられないような話を聞きました。それは二人目の児童を授かったケースのはなし。普通に考えて二人目の子どもを迎えれば、当然同じ施設に預けたいのが親の本音というもの。やはり、送り迎えも1ヶ所にまとめた方が時間的にも肉体的にも楽ですからね。ただし、こういう一人ですら入園がままならない状況となっては、あまり好き勝手なことも言ってられません。当然、仕方なしに別々の施設を使い、児童保育サービスを受けている方も少なくないのですが、それが激戦区の世田谷区であればなおさらで、二人目の子どもを同じ施設に入れるためにとんでもない対策を講じている人がいると言います。

 それが「一時離婚」という方法です。やはり、このような状況ですので、施設側は当然のことながら家庭環境が厳しい方にその優先権を与えます。冒頭で事細かく経済事情を伺うのも、実は支払い能力の確認を求めているのではなく、施設に預けるための相応の理由として、その家庭環境を確認するために行っているのが実状です。そこでこの世田谷区では、二人目も同じ施設に預けたいという理由で、敢えて離婚という状況を一旦迎え、シングル・マザーという施設側にとっても認められやすい状況を演出して審査に臨み出す人が出てきたというのです。言い換えれば、偽装離婚です。まぁ、それだけ背に腹は代えられないといった部分もあるのかもしれませんが、普通、家族の籍を一旦外すという選択肢は考えませんからね。ある意味、それだけ世田谷区の待機児童問題は深刻ということなのでしょう。

 ただ、中には待機児童問題を改善している地区もあります。その数が少ない地区に、これは2年前のものとなりますが、1位の千代田区なんかは、待機児童数0人という偉業を達成しています。2位の北区、3位の品川区も0ではないものの着実にその数を減らしております。どうせ、背に腹は代えられないというのであれば、こういう地区に引っ越すという考えもあると思うのですが、逆に言えば、それだけ「家」に対する考えが風化しているのかもしれません。個人的には、そうした短絡的な考えに及ぶことの方が少し怖い気もしますが、何よりこうした状況が改善されることが一番なんですよね。施設の数に余裕がないから家庭環境に問題ある方が優先される。その方が得だと思われてしまっては、真面目にやっている方が損だと捉えられかねません。このあたりはきっちりと解決してもらいたいですね。

著者プロフィール

toujyou

一般社団法人国際教養振興協会代表理事/神社ライター

東條英利

日本人の教養力の向上と国際教養人の創出をビジョンに掲げ、一般社団法人国際教養振興協会を設立。「教養」に関するメディアの構築や教育事業、国際交流事業を行う。著書に『日本人の証明』『神社ツーリズム』がある。

公式サイト/東條英利 公式サイト

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