橋下市長がカジノ誘致で自民党に急接近…維新の党分裂も

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橋下徹オフィシャルサイトより
橋下徹オフィシャルサイトより

 岡田・細野・長妻の3氏で争われた民主党代表選は、決選投票の末に岡田克也氏が新代表に選出された。これらに対して、自民党や維新の党など与野党から反応が寄せられている。その反応のなかでも、際立っていたのが橋下徹大阪市長のコメントだ。橋下市長は民主党の体質が変わっていないと批判的に言及。

 橋下市長は民主党代表選に立候補した3氏のなかで、細野豪志氏と懇意にしていた。橋下市長と細野氏は、政党の垣根を超えて連携を模索していた。それだけに、橋下市長の心中では細野民主党代表の誕生を期待していたと思われる。

 橋下市長が民主党に厳しい見方をしたのは、それだけが理由ではない。先の衆院選では橋下市長は自民党の応援団!? と見紛うばかりのアベノミクスを前向きに評価する演説を各地で披露している。

 本来、野党である維新の党の代表(当時)ならば、自民党・公明党から議席を奪還しようと現政権に手厳しいスタンスで臨む。舌鋒の鋭さで有権者の人気を博してきた橋下市長ならば、なおさら安倍政権を厳しく批判してもよさそうだが、衆院選での橋下市長はキレ味が鈍かった。

是が非でも大阪にカジノを

 橋下市長にとって安倍政権、特に安倍総理が推進するアベノミクスを厳しく批判できない理由はIR推進法案を人質にとられているからといわれる。

 IR推進法案とは統合型リゾート(IR)を一体的に整備することを推進する法律だが、統合型リゾートの目玉とされるのがカジノなのである。

 橋下市長は2011年のW選でも「東京と大阪、ふたつの成長エンジンで日本経済を牽引する」と宣言していた。大阪では成長戦略の一環としてカジノ誘致に力を入れており、すでにカジノ建設地も確保している。それだけに、是が非でも大阪にカジノを実現させようと意気込んでいる。

 先の通常国会でIR法案は成立濃厚だったが、突然の解散により先送りにされた。それだけに「橋下市長は焦っているのではないか?」と政治記者の間では囁かれている。

 IR法案が成立すれば、国の金でカジノを整備できて税収も増える。大阪にカジノを誘致すれば大阪の税収も増える。自分が市長職にあるうちに誘致に成功させることで、自分の手柄になる。しかし、IR法案が成立してもすんなり大阪にカジノが建設されるとは限らない。

「カジノ誘致に手を挙げている地方自治体は、全国でもいくつかあります。IR法案が成立しても国内で食い合わないように、設置されるのは2~3か所。東京オリンピック開催で訪日外国人観光客の増加が確実な東京は当確。残りは2か所。大阪は厳しいかもしれない」(永田町関係者)

 沖縄県知事選で自民党が推す候補が敗北した。政府は基地移転を進めようとしているが、反対派をカジノで懐柔しようと画策しているともいわれる。そうなると、残るカジノ予定地は一か所。

 ほかにも、ディズニーリゾートや成田空港・幕張新都心などを擁する千葉県、港湾開発に力を入れる横浜市などがカジノ誘致を表明している。

 手ごわいライバルがいる中、兵庫県知事がカジノ誘致に反対を表明し、観光都市として人気の京都も慎重なスタンスを取っている。大阪へのカジノ誘致は近隣自治体の協力がなく、孤立無援状態に陥っている。そうした逆風も、大阪にカジノ設置のマイナス要素になっている。

 先の通常国会でIR法案は成立確実といわれていたが、突然の衆議院解散で法案は先送りにされた。橋下市長はヤキモキさせられていることだろう。

 そこにカジノに否定的な岡田氏が新代表に就任したのだから、橋下市長にとって面白いはずがない。岡田新代表の就任は、単なる民主党の顔が変わったという話ではないのだ。

 これを機に、維新の党の一部議員が自民党に接近する可能性もはらんでいる。そうなると、維新の党が分裂する可能性もありそうだ。

(文/小川裕夫)

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