中国人セレブが通う「結婚相談所」が大盛況…会費は2年で1880万円

デイリーニュースオンライン

「ニューリッチ層」向けのお見合い斡旋会社が続々誕生している
「ニューリッチ層」向けのお見合い斡旋会社が続々誕生している

 2015年2月2日、中国の調査機関「胡潤研究院」が、世界の富豪に関する調査結果を発表した。この報告によると2014年、資産総額が10億ドル(約1174億円)を超える富豪は世界で2089人に達したという。最も富豪が多い国家(地域)はアメリカ合衆国で537人。次いで、中国が430人。以下、インドに97人、ロシア93人、イギリス80人、ドイツ72人と続く。日本は45人で第11位であった。

 経済発展とともに、近年、中国では「ニューリッチ層」と呼ばれる富豪が急増している。つい先日には、こんな報道もあった——中国の民間の市場調査会社「財富品質研究院」のリポートによれば、高級ブランドの衣服やバッグ、腕時計などのぜいたく品市場は昨年(2014年)、全世界で前年比7%増の2320億ドル(約27.3兆円)に達し、このうち、中国人による消費が約半分(1060億ドル/約12.5兆円、全体の約46%)を占めたという。

 そんな中国富裕層の「嫁探し」と「結婚」は、やはり一筋縄ではいかない。中国人富豪向けにお見合い斡旋ビジネスを展開する企業を取材した。

2年間で1880万円! 富豪向けお見合いサービス

「うちの入会費は高いですよ。中国で一番高いかもしれません。富豪の男性会員からは2年間のサービスで100万元(約1880万円)もいただいていますから」

 中国・杭州市にある富豪向けお見合い会社「心心縁交友有限公司」の責任者である郭紅翔氏は、このように言う。一般の庶民からすれば、まさに天文学的数字だ。

 郭氏によれば、これまでに9割の男性会員が1年未満で“お嫁さん候補”を見つけることができたとのことで、平均毎月8万元、すなわち約150万円あまりの仲介費がかかっている計算になる。

 一方、いま、中国の若い女性の間では「富豪と結婚したい」という話題で持ちきりだ。社会が加速度的に豊かになりつつあり、メディアなどの影響もあって贅沢な生活への願望を膨らませる人が急速に増えているが、就職難の波にのまれてしまいそうな若い女性にとって、手っ取り早く豊かで幸せな生活を手に入れる方法は富豪の男と結婚することだ。

 このような時代背景のもとに、富豪向けのお見合い会社が数多く生まれている。

 林立するこれらの結婚相談所が対象としているのは、中国で「富二代(フーアルダイ)」と呼ばれる人たちだ。結婚適齢期の富豪といえば彼らのことを指す。「富一代(フーイーダイ)」は彼らの両親のことで、富二代のほとんどは、80年代一人っ子政策が実施された後に生まれた富豪のジュニアたちである。年齢は20~30代で、将来は家業を継ぐ運命が定められている。

 彼らの親(富一代)は、自分が築き上げた財産を守ろうとする意識が人一倍に強く、我が子の結婚を徹底的に管理しようとしている。子供が結婚に失敗でもすると、大切な財産が流失する恐れがあるからである。彼らはいまの若い女性たちに不信感があり、騙されまいと極度に警戒している。

自由恋愛ができない「富二代」たち

 郭氏は次のように言う。

「中国語には『門当戸対』という言葉があります。親は、子供の前ではそれを強調することを避けるようにしますが、ほとんどの場合、私たちは『門当戸対』の原則にのっとって依頼者の恋人を選んでいます」

「門当戸対」とは、中国富豪のお見合い・結婚にまつわる必須条件を表現した言葉である。

条件1. 女性の年齢は男性より若いこと
条件2. 大学以上の高等教育を受けていること
条件3. 家柄がいいこと
条件4. 美人であること、容姿がいいこと
条件5. 家業に携わることができる相手であること

 この5つの条件のうち、絶対に欠かせないのは3番である。具体的に言うと、同様に富豪家庭出身であるか、共産党役人、大学教授、開業医、芸術家、女優、企業の高級管理職などの家庭出身、またはそれらの職業に就いていること。そういった人物であれば「家柄がいい」と認められる。富豪の親たちは、結婚相手の家柄が良ければ、子供の結婚生活が安定し、家庭が幸せで夫婦トラブルも起きないと信じている。

「富豪家庭の子供たちは努力家が多く、そのほとんどが海外留学経験組です。しかし、彼らの恋愛・結婚問題は意外にも大変難しく、自由恋愛はできません。父母からかなりの圧力がかかっているからです。父母は子供の恋人探しに最初から最後まで強制的に介入しており、自分たちが納得するまで結婚相手を決めることを許しません。たとえ息子に好きな相手がいても、です。ちょっとかわいそうですね」(郭氏)

 中国政府・民生部の最新の統計公報によると、2013年までに国内の離婚率は10年連続で上昇、同年は350万組(前年比12.8%増)が離婚手続きをしたという。

 離婚の急増で親世代がますます不安を募らせるのか、それとも、親が干渉した結婚に不満が募って離婚が増えるのか——。社会の変化とともに、現代中国の結婚事情も一昔前とは大きく異なっている。

(取材・文/邱海涛)

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