ソフトバンク・今宮、阪神・鳥谷…「守備の名手」に注目|愛甲猛コラム

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“日本一の遊撃手”SB今宮のプレーはファンならずとも一見の価値あり
“日本一の遊撃手”SB今宮のプレーはファンならずとも一見の価値あり

 ソフトバンクのキャンプで、今宮健太が特守に打ち込んでいた。現在のプロ野球界で「No.1ショート」の呼び声がある通り、守備範囲の広さは群を抜いている。レフト前のテキサスヒットはショートフライ。難しい当たりを捕球した後の送球も速くて正確だ。今は身体能力で守っている面もあるが、球際のさばきを覚えれば、もっと上手くなる選手である。

 セカンドは12球団でもっとも守備範囲が広い菊池涼介(広島)だ。二遊間の難しい当たりをあれだけ処理してもらえれば、投手は本当に助かる。メジャーに「理想のグラブトス」と称された守備力で、昨年捕殺の日本記録を作った。守りの野球で優勝を目指すカープにとって必要不可欠な選手だ。

 堅実さでは鳥谷敬(阪神)だ。2年連続ゴールデングラブ賞に輝いた彼は、2年間でわずか9つしかエラーがない。同じショートの坂本勇人(巨人)など24個だ。加えて打撃力もあり、走攻守すべてがハイレベル。セ界一のショートだ。

「野球の華」と言われるホームランに沸くプロ野球ファンは多いが、攻撃だけが野球ではない。当然ながら守備も重要な要素であり、今宮や菊池涼介(広島)のプレーには一見の価値がある。

“魅せるプレー”ができた水上善雄

 俺が現役だった当時は西武黄金時代。当時の守備の名手といえば辻発彦さん(西武)の名前を挙げる人が多いだろう。現オリックス監督の森脇浩司さん(近鉄)も名手だった。引退後、ダイエーや巨人、オリックスから守備コーチとして引く手あまただったのも、安心できる守備が評価されたからだ。ほかには福良淳一さん(オリックス)や奈良原浩(西武)も堅実なプレイヤーだった。

 上手いプレイヤーは、どんな体勢からでも、こちらが取りやすいボールを投げてくる。オールスターの一塁守備で彼らの送球を受けると、その技術に目を奪われたものだ。「気楽に取れる」ボールだ。

 そんな中、オレが選ぶNo.1プレイヤーは水上善雄さん(ロッテ)だ。堅実さ、守備範囲、肩の強さはもちろん、“お客さんに魅せるプレー”ができた。長嶋茂雄さんのような三塁手であり、プロという観点でいえばNo.1だったと思う。

 あの10.19ロッテ対近鉄のダブルヘッダー第2試合。途中から三塁に就いた水上さんは、新井宏昌さんが放った三塁線への強烈な当たりをダイビングキャッチでサードゴロとし、近鉄の勝ち越しを阻止している。あれがなければ近鉄が優勝していたかもしれない、そんなビッグプレーであった。

 水上さんは、日本ハムのコーチ時代に中田翔や陽岱鋼を育てた実績を買われ、今季からソフトバンクの二軍監督に就任している。

ズバ抜けた身体能力をもっていた秋山幸二

 外野手では秋山幸二(西武)やイチロー(現マリーンズ)、本西厚博(オリックス)、緒方孝市(広島)、音重鎮(中日)、新庄剛志(日本ハム)の名前が挙がる。新庄は上手さに加えて派手さもあった。

 外野手として、イチローと秋山は似たタイプだ。スライディングキャッチはしてもダイビングキャッチは目にしたことがない。逆に新庄や緒方は、左右の打球に対してダイビングをしていた。

 これはどちらがいい、というものではなく、あくまでタイプの違いであり、どちらも「抜ければ長打、捕ればファインプレー」というリスクを背負ったキャッチングである。

 外野手の場合、肩の強さはもちろん、落下地点を見極める判断力も問われる。見ていて安心感のある守備ができるかどうかだ。この点で見劣りしたのは松井秀喜(巨人)や金本知憲(阪神)。彼らは捕り方が不安定であり、スライディングもダイビングも、お世辞にも上手いとは言えなかった。

 現役では高橋由伸(巨人)や糸井嘉男(オリックス)も“ゼニを取れる外野手”だが、同様に上手いのは松本哲也(巨人)だ。

 プロの外野手の場合、前や横の打球は遜色なく捕れる。外野手として上手いかどうかは、後ろの打球に対する上手さだ。この点、松本はスタート力、判断力、キャッチングが抜群だ。これで肩さえ強ければ名手の仲間入りを果たせるところだが、それを差し引いても目を見張るものがある。

 以上のうち、No.1の外野手を挙げるとしたら秋山だろう。秋山は類まれなる身体能力をもっており、別の分野でも十分に成功したと思われる。

 プロ野球選手は「野球が上手い」人の集まりだが、彼だけは「野球も上手い」、そんなアスリートだった。過去のプロ野球選手の中でも、特筆すべき選手だった。

 今宮や菊池、鳥谷、糸井、松本らの守備に注目すると、プロの凄みが理解でき、プロ野球の見方も広がるだろう。

愛甲猛(あいこうたけし)
横浜高校のエースとして1980年夏の甲子園優勝。同年ドラフト1位でロッテオリオンズ入団。88年から92年にかけてマークした535試合連続フルイニング出場はパ・リーグ記録。96年に中日ドラゴンズ移籍、代打の切り札として99年の優勝に貢献する。オールスターゲーム出場2回。
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