「官公庁HPしか信用しない」“マスゴミ批判”するネット依存大学生の言い分

デイリーニュースオンライン

若年層に広がるマスコミ不信(写真はイメージです)
若年層に広がるマスコミ不信(写真はイメージです)

 外務省は2月7日、「イスラム国」の勢力が拡大するシリア北部への渡航を計画していたフリーカメラマン・杉本佑一さん(58)に対し、渡航の差し止めを求めて旅券返納を命じたことは大きな騒動となった。

 憲法上の「表現の自由」「移動の自由」への侵害との声がある一方で、「ジャーナリズムといえども法を守って当然だ」「国に迷惑をかけてまで行くべきではない」などなど、今回の外務省の措置を評価する声も多数、聞かれた。日本テレビが13~15日に行った世論調査では、この旅券返納命令について「妥当である」が27.9%、「問題は残るがやむをえない」が58.9%となり、トータルで8割以上が肯定的な意見であった。

 こうした世論の声に、一部のジャーナリストたちは「日本人はそもそもジャーナリズムの意味がわかっていない」という意見もあった。だが、こうした世論の反応にはマスコミ不信があることはたしかだろう。IT社会が成熟した今、ジャーナリズムが伝える事実は「真実ではない」との声がネットユーザーたちの間では年々高まりつつある。今や権力の監視役はTwitterやFacebook、2ちゃんねる、まとめサイトで十分だと考える人が多いのだ。

「マスゴミ」を連呼する大学生に質問をぶつけた

 関西地方の某私大2回生の中村翔太さん(仮名・20歳)は、「マスコミが“マスゴミ”と呼ばれるようになった時期からマスコミはもうその役割をとうに終えている」と話す。

「そもそもマスコミなんて社会に必要ないんですよ。そこに生きる人たちの声にこそ真実があるわけで、それを商売に絡めて恣意的に事実を捻じ曲げるのがマスコミです。マスゴミと揶揄されても仕方がないでしょう」

 マスコミ嫌いで、熱心なTwitterユーザーでもあり、2ちゃんねるへの書き込みも行なっているという中村さんは、「マスコミがネット民からの信頼を取り戻すための提言」を熱く語る。その声に耳を傾けてみるとマスコミが反省すべき点と責任あるメディア不在の社会という危険の相反する両面を併せ持っているかにみえる。

 そもそも中村さんと筆者との出会いは、筆者のある記事の感想を筆者が運営するブログに掲載しているメールアドレス宛にメールを送ってきたのが最初だ。何度かメールでのやり取りの後、今月初め、神戸市内の喫茶店で初めて会った。その際のやりとりを構成し掲載する。本人から実名公開の許諾が取れなかったため仮名とすることを明記しておく。

左翼マスゴミより官公庁のHPが一番信頼できる

──マスコミへの不信を率直にお話下さい。マスコミの役割は権力監視にあります。それがなくなると市民の声が届かない怖い社会になりやしませんか?

「国を貶めているところが気に食わない。日本人なら国にもっと誇りを持つべきです。国家や自衛隊を貶めるマスコミはなくてもいい存在です。あと権力監視と言いますが、国は各省庁や自治体で今は皆、どこもHPを持ってますよね? それを情報の受け手である国民が閲覧できればそれでいいではないですか?

──官公庁、自衛隊、地方自治体のHP発信だけでは、これらが自分たちにとって都合のいい情報しか流さない可能性もありますが?

「左翼ならともかく国がいっているんです。だからいいんです。もし捏造とかあればネット民は黙っていません。プロのジャーナリズムよりも上質な情報分析力がネット民にはありますから」

──責任を負うリスクを背負うことなく、ネット民が誤った情報を正しい情報と思い込み、誤って発信しそれが拡散してしまう可能性もありますよね? 一方で新聞・放送・出版メディアはどこも皆、責任ある情報を発信しています。

「それは所詮ネット民の声が拡がったに過ぎません。それにネットは匿名社会。責任のない言動です。そういう追求の仕方は素人であるネット民相手に大人気ないと思います。マスコミの偉そうな雰囲気は嫌いです。あと既存のマスコミも同じことやってるじゃないですか。記事中でよくありますよね?『関係者』とか『官邸筋』とか匿名コメントが。ああいうの全て実名にしてソースをすべてオープンにできますか? それをしたら信用してあげてもいいですけどね」

──仮名や匿名にするのは発言者を守るためです。実名に越したことはありませんが、それでは声なき声を拾えません。官公庁や金融機関への取材では、情報源は自らの危険を冒してまで情報を寄せてくれます。その人たちを守るのもまたマスコミなのです。匿名はそうした理由ということを知っていますか?

「声なき声を実名で拾ってくるのがプロ(既存マスコミ)の仕事ではないですか? 匿名での誰かなんて本当に存在するのか怪しいです。僕はそんな記事信用しませんよ。僕にとって信用できるのは、官公庁や企業のHPが発信する責任ある情報だけです」

僕はネットで匿名、存在しない人間なのです

──ネット民が勝手に実名を出して議論する場面も多いですよね?

「井戸端会議という声もありますが、落書きですよ。今、ネットの世界では、公式アカウント以外は、「存在しないものとする」というのが当たり前なので。そこにマスコミ、政治家、芸能人が入ってくるから、アレ(註:変な人という意味)な感じになるんですよ。

──新聞とか雑誌はネットでもお読みになられます?

「産経新聞だけは信頼できます。自衛隊を貶めることはないので。購読しています(註:購読料を支払い定期購読しているのではなく、ネット上での記事を読んでいるという意味)。自衛隊を批評する記事があっても、産経新聞なら建設的な批評です。でも朝日や毎日は叩くための批判で、議論に値しませんね」

「ところで、あなた(筆者)は、防衛省や自衛隊を貶める記事をいくつも書いてますよね? よく1佐とか階級が高い人の匿名発言が多数、記事中に出ています。本当にそんな知り合いがいて取材しているのですか?」

(筆者が取材メモ、防衛省に赴いた際の記録、写真、海幕広報室長、同報道主任、統幕関係者ら公開しても差し支えない幹部自衛官らの名刺をみせる)

「大人気ないですね。裁判でもするつもりですか? 僕はネットでは匿名でやってるんですよ。すなわち“存在しないもの”なんです」

 議論というか話し合いは平行線に終わった。だが、Twitterや2ちゃんねるに書き込みしている20代の考え方がよくわかった。残念なのは、こちら側が反論する、もしくは取材メモなどの物証を提示すると、「大人気ない」という返答に終始したことだ。

 今、ネット民の間では、「公式アカウント以外は存在しないもの」とする考え方が主流なのだそうだ。しかし、昨今ではネット上での発言も刑事では犯罪、民事では損害賠償請求の対象となる。この考え方はどこか危うい気がしないでもない。さて、こうした流れにネット民たちはどう反応するか。すくなからず気になるところではある。

(取材・文/秋山謙一郎)

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