パズドラ崩壊騒動…曲芸士は本当に“てまっている”のか?

デイリーニュースオンライン

パズドラ運営サイトより
パズドラ運営サイトより

 パズドラにおいては「キャラクターが強すぎてゲームバランスが崩壊すること」を「てまる」といいます。

「てまりすぎ」「最高にてまってる」──パズドラ発祥「てまる」ってどういう意味?

 そして、この度、「クリスタル・ディフェンダーズ」コラボにおいて登場した新キャラ「曲芸士」が「てまっている」として騒動になりました。「これまでのキャラに投資してきたのがバカらしくなる」「ゲームバランスぶっ壊れ」「チート」などと散々に言われる中、公式サイトでもこれに関するコメントが行われました。

【パズル&ドラゴンズ】「クリスタル・ディフェンダーズ」コラボにおける「曲芸士」スキルについて

「曲芸士」のリーダースキルについては、現在のパズドラにおいて、強力な効果を持つものの一つではございますが、リーダースキルの発動や、ステータス・その他要因をチーム編成やモンスター育成、パズル等でカバーする必要があるなど、安定的に使用していくための難度は高く、様々な工夫が必要となってまいります。

 また、今後のアップデートや新ダンジョン、新キャラクター等の実装を経て、パズドラでさらに幅広い遊び方ができるようになっていくことも考慮し、ゲームバランスに深刻な影響はないと判断しておりますため、本リーダースキル内容を下方修正することは予定しておりません。(略)

 ユーザーの反応はともかくとして、企業としては妥当な対応だと思います。「強い!」と言われて弱くしたら、「強いからガチャ引いたのに!」「せっかく強いキャラ当たったのに!」と別の人から怒られますからね。

 以前パズドラは「ド根性」というスキルでバランス崩壊してしまい、下方修正で揉めた挙句に「ド根性が通用しないダンジョンを作る」ことで最終的に対処しました。「キャラをお金で買う」というシステム上、キャラの下方修正は資産の目減りにも等しく、激しい反発を受けるものなのです。

「てまっている」かは保留段階

 しかし、今回の曲芸士はそんなにも「てまっている」のでしょうか? 筆者個人の感覚としては、まだ保留段階かな、と思います。

 曲芸士でまず目を惹くのがリーダースキルです。「回復の2コンボ以上で攻撃力が7倍」というもので、最低3コンボで7倍の火力が出せます。これは似たようなリーダースキルの蒼頂の華龍・スターリングが「水水または水木の2コンボで攻撃力が上がり、水水木の3コンボ以上で攻撃力が3.5倍」であることを考えれば、パズル自体の難易度はほぼ同じながら倍の威力と言えます。

 また極光太陽神・ラーで7倍を出そうとすると、「5属性+回復の同時攻撃」が必要となり運要素に加え高度なパズル力が必要とされます。ラーに比べれば曲芸士はかなりお手軽です。

 なので、額面的にはお気楽で強いリーダースキルなのですが、実際にフレンドの曲芸士を使ってみたところ、回復を2コンボ分溜めなければならないのに溜まるまでは回復できない(回復ドロップを使えないため)というジレンマがあり、「なるほど……曲芸だ」と感じるプレイ感覚でした。

 ではリーダー、フレンドどちらも曲芸士でやってる人はどうなんだろう、とプレイ動画を見てみると……

 こちらは高難易度ダンジョン、ゴッドラッシュのクリア動画です。サブに魔哭の冥夜神・パンドラを詰め込んでいます。……う、うん。曲芸士のサブにパンドラがベストマッチなのは自明の理だし、そのパンドラを四体も詰め込んでたら、そりゃまあ強いんじゃないかな……。普通のプレイヤーはパンドラなんて持ってるか持ってないか、持ってても一体とかだし……あんまり参考にならないような。

 続いて第8回チャレンジダンジョンLv10のクリア動画。裏夜天龍・エリュシオンと黄泉の主神・イザナミを起用し、一階で耐久してスキルを貯めています。低めの回復力は高いプラス総数でカバー。あとパズルが上手いです。……うーん、これもどうなんでしょう。しっかり作戦を立てて、キャラをきっちり育て上げ、そして単純にゲームが上手い。それはてまってるというか、クリアできて然るべきなのでは……?

 まとめますと、「パンドラをサブに複数詰め込むと強い」のは間違いないのだと思います。大多数のプレイヤーにはあまり関係のない話ですが、パンドラを複数持っているプレイヤーは「てまっている」のかもしれません。

 パーティーメンバーを工夫し、作戦を立てて、しっかりとパズルすれば難関ダンジョンをクリアできる……という点に関しては、これは同難度のダンジョンを他のパーティーでクリアする難度と比較しないとよく分からないところです。他のパーティーよりも遥かに楽だ、というのなら、てまっているのでしょうか。

 ランク450オーバーのパズドラユーザーであるAさんはこう語りました。

「今回の騒動にはおそらくパズドラ外部のスクエニアンチも流れてきてますね。パズドラを触ったことのないような人も尻馬に乗って騒ぎ立ててるんじゃないでしょうか。ただ、一方で曲芸士のバランスブレイカーっぷりを心配する人の気持ちも分かります。今後、曲芸士基準で難関ダンジョンが作られることになると、曲芸士を持っていないプレイヤーが損することになるわけですから」

 とのこと。後半部は一理ある話ですが、やはり、個人的には曲芸士が「てまってる」かどうかは現時点では保留かな。今後研究が進み、パンドラを持っていない人や、フレンドの曲芸士に寄生している人が、しょっぱいパーティーで高難度ダンジョンを安定クリアーする方法が見つかるかどうか次第でしょうか。

 既に現時点でもしょっぱいパーティーでのゼウス攻略動画などが公開されています。今後こういうのがたくさん生まれて、色んな降臨を初心者が簡単にクリアーできるようになってしまえば、それはゲームとしておかしいので「てまってる」のだと思います。

 ただ、上の動画にしてもパッと見のパーティー編成はしょっぱいですが、最大瞬間火力は52.5倍も出ているわけですし、むしろ「よく工夫して組み立てられた最小編成」という感じも受けます。こういう珍妙で鬼面人を驚かすプレイ動画が出てくるのも、ある意味正しく「曲芸士プレイしてる」という気がしなくもなし……。

著者プロフィール

作家

架神恭介

広島県出身。早稲田大学第一文学部卒業。『戦闘破壊学園ダンゲロス』で第3回講談社BOX新人賞を受賞し、小説家デビュー。漫画原作や動画制作、パンクロックなど多岐に活動。近著に『仁義なきキリスト教史』(筑摩書房)

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