北陸新幹線開通とダブルで恩恵…NHK朝ドラ舞台で経済効果は439億円に

デイリーニュースオンライン

NHK連続テレビ小説「まれ」公式HPよりより
NHK連続テレビ小説「まれ」公式HPよりより

 いよいよ3月14日に北陸新幹線が金沢まで開業する。新幹線開業後は従来3時間50分かかった東京~金沢間が2時間28分となり、所要時間が約1時間20分も短縮する。北陸新幹線金沢開業の効果により、首都圏を中心に石川県を訪れる観光客やビジネス客の大幅な増加が見込めるだろう。

 北陸銀行のシンクタンク北陸経済研究所の試算によると、訪問客が飲食代・宿泊費・土産代などでお金を落としていくことで富山県は約118億円、石川県は約182億円、2県の合計で約300億円の経済効果が発生するという。

 そして、北陸新幹線金沢開業とともに、石川県の観光産業にとって追い風になりそうなのが、3月30日から放送が始まるNHK連続テレビ小説『まれ』の効果である。今回の朝ドラは、石川県の能登を舞台としており、ヒロインの成長を描く現代ドラマとなっている。『まれ』が20%を超える高い平均視聴率を叩き出せば、朝ドラをきっかけとして、能登をはじめ石川県の観光名所を訪れる人が増えることも期待される。

『ゲゲゲの女房』並みの高視聴率なら観光客は2割増!

 NHKの朝ドラが地域振興・地方創生につながった事例として、2010年度上半期に放送された『ゲゲゲの女房』が挙げられる。

『ゲゲゲの女房』の舞台となった島根県安来市の2010年の観光客数は前年比18.1%増の158万1237人を記録した。島根県全体でとらえても、2010年に県内を訪れた観光客が前年実績に比べて87万3000人も増加した。

 では、2015年度上半期に放送される『まれ』の経済効果はどれぐらいになるのだろうか。いくつかの前提条件を置いて試算してみよう。

 まず、『まれ』が高視聴率を記録し、能登地域への関心が高まることの効果によって、石川県外から能登地域(和倉温泉、輪島温泉郷、海水浴場、宿泊施設・イベント会場など)を訪れる観光客数が18.1%増加すると想定する。この伸び率は『ゲゲゲの女房』の効果によって、島根県安来市を訪れた観光客の年間増加率と同じ伸び率である。

 石川県観光戦略推進部のデータによると、2013年に石川県外から能登地域を訪れた観光客数は約396万7000人だったので、『まれ』の影響によって能登地域を訪れる観光客の数は約71万8000人(=396万7000人×18.1%)と計算される。

 また、石川県観光戦略推進部によると、2013年に県外から石川県を訪れた観光客の1人あたりの消費金額は3万8388円となっているので、『まれ』効果によるマクロの観光消費額を計算すると275.6億円(=71万8000人×3万8388円)になる。この275.6億円が『まれ』の直接的な経済効果である。

 さらに、石川県の『産業連関表』(2005年)を使って、商業・サービス部門を中心に275.6億円の最終需要が新規に発生した場合に、二次的な経済波及効果(追加的な最終需要の発生によって生産が拡大し、それによって雇用・所得環境が改善して、消費が増えてさらに生産の拡大が促される効果)がどれぐらい発生するかを計算すると、163.5億円となった。

 最初に発生した最終需要(=275.6億円)と二次的な経済波及効果(=163.5億円)を合わせると、トータルでは約439.1億円もの経済効果が発生することになる。

 NHKの朝ドラと北陸新幹線金沢開業との相乗効果が現れれば、最終的な経済効果は今回の試算結果に比べてさらに大きな数字に膨らむ可能性もあるだろう。

著者プロフィール

エコノミスト

門倉貴史

1971年、神奈川県横須賀市生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業後、銀行系シンクタンク、生保系シンクタンク主任エコノミストを経て、BRICs経済研究所代表に。雑誌・テレビなどメディア出演多数。『ホンマでっか!?』(CX系)でレギュラー評論家として人気を博している。近著に『出世はヨイショが9割』(朝日新聞出版)

公式サイト/門倉貴史のBRICs経済研究所

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