若手は小泉進次郎だけ…“18歳選挙権”が高齢化する永田町を変えるか

デイリーニュースオンライン

小泉進次郎オフィシャルサイトより
小泉進次郎オフィシャルサイトより

 現行20歳となっている選挙権を18歳に引き下げる法案が衆議院に提出された。同法案は超党派によって提出されているので、成立は確実視されている。

 同法案が成立すると、早ければ来年の参議院選挙から18歳の国民に投票権が与えられることになる。その数は約240万人。

 しかし、若者の政治離れが叫ばれる中で18歳・19歳の若者は投票に行くのだろうか?  そんな疑問は残るものの、若い時期から政治に参加できる機会が与えられれば、それだけ政治を考える機会が増える。仮に18歳・19歳が投票しなくても、20代の投票率が向上するといった相乗効果は期待できる。

候補者も年寄りばかり

 政治参加のチャンスが増えることは喜ばしいことだが、一方で選挙に立候補できる“被選挙権”は今回の法改正では触れられていない。現行法では、衆議院は25歳、参議院は30歳にならないと立候補できない。そうした状況において、ある永田町関係者はこう話す。

「今回の選挙権の年齢引き下げは、若者の政治参加を促す効果があると言われています。一定の効果はあると思いますが、やはり立候補の年齢引き下げも検討する必要があった。若者が政治に関心がないのは、候補者が高齢者ばかりだからですよ。彼らから見れば、60代・70代は祖父母のような年齢です。20代からしてみれば、高度経済成長期やバブルを経験してきた世代とは社会の見方も大きく違うし、価値観も違う。話がかみ合うはずがありません。そんな年寄りばかりの永田町を若者は見限っているんです」

 永田町の時代遅れ感を象徴する出来事としては、選挙運動におけるインターネットの導入が遅れたことが象徴的だろう。インターネットが世間に広く普及しても、政界では長らく選挙におけるインターネットの利用が厳しく制限されてきた。そんなところからも、永田町と一般社会のズレは感じられる。そんなズレた価値観で「社会をよくする!」「政治を変える!」と息巻かれても、20代の若者は白けるばかりである。

「若くて活き活きとした候補者がたくさん出てきた方が、投票県の年齢引き下げよりもよっぽど若者の政治参加を促進効果がある」(前出・永田町関係者)

 とはいえ、仮に被選挙権の年齢が引き下げられたとしても、若い立候補者が増えるとも思えない。なぜなら、選挙に立候補するには供託金が必要であり、例えば国政選挙の小選挙区は300万円ないと立候補できない。供託金のほかにも、選挙は膨大な金がかかるため、大抵の若者は立候補することさえ夢のまた夢なのだ。

 さらに、こんな意見もある。元国会議員はこう話す。「衆議院選挙は25歳から立候補できますが、25歳と言えば、大学生が就職して3年目にあたる年です。ちょうど仕事を覚え、スキルやキャリアを身につく頃です。仕事にやりがいを感じてきたのに、それを捨ててまで政治の世界に飛び込もうという数奇な若者がいるとは思えない」

 こうした指摘に対して、ある自民党関係者もこう語る。

「各党を見渡すと、比較的に民主党の議員の年齢は低い。自民党は爺さんばかりです。だから支持者も高齢者ばかり。自民党には小泉進次郎という期待の星がいますが、小泉一人だけでは若さをアピールする訴求力に乏しい」

 日本は高齢化社会に突入しているが、それをもっとも具現化しているのが永田町なのである。永田町の老人たちが自分たちの現状から目をそむけ、若者の政治参加を訴えても、むなしく響くだけだ。

(取材・文/小川裕夫)

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