裏金問題の大阪桐蔭に君臨した「黒幕」の正体

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高校球界が激震した大阪桐蔭の裏金問題
高校球界が激震した大阪桐蔭の裏金問題

 阪神の藤波晋太郎投手(20)の出身校として知られる中高一貫の名門校、大阪桐蔭中学・高校が揺れている。

 学校幹部による教材費の余剰金や模擬試験の一部費用などを利用した裏金作りが発覚。しかも、その額が5億円以上にも上るというのである。手口は極めて悪質だ。

「裏金の原資とされた教材費などは、本来保護者に返還されるべきものだった。しかし、学校側は業者に納入する金額より大目に保護者からカネを徴収し、余った分を学校法人のものとは別の個人名義の口座にプールしていた。隠し口座を使ったほとんど詐欺同然の行為だ」(取材に当たった新聞社の社会部記者)

10年以上前から裏金作りが行われていた

 しかも、驚くべきはこの裏金作りがかなり長期間にわたって行われてきたことだ。

 調査に当たった弁護士らでつくる第三者委員会の調査によると、こうした不正は少なくとも2004年から始まっていたという。しかし、一部の学校関係者は、「中学部が創立される直前の1992年頃から20年以上に渡って続いていた」と証言しており、裏金は10億円規模にまで膨れ上がる可能性さえある。

 教育者の風上にもおけない「銭ゲバ」ぶりを発揮し、私腹を肥やしていた幹部とは誰なのか。

「裏金づくりを主導していたのは、森山信一前校長(74)だとみられている。創立当初から校長を務め、大阪桐蔭をスポーツでも進学実績でも成果を出す全国屈指の名門に育て上げた立役者として学園内で絶大な権勢をふるった人物だ」(学校関係者)

 裏金問題の「黒幕」とみられるこの森山氏。

 これまでの調査では、隠し口座の管理を担当していた60代の前事務長に指示し、不正に手を染め続けたとされる。

「巨額の裏金は、進学塾への接待に使われたほか、ゴルフのプレー代などの遊興費にも充てられていた。百貨店の外商から約100万円のブランドバッグや数十万円するエルメスなどの高級ブランドのスカーフを購入した代金としても使われた形跡がある。森山氏は、ワンマン校長として君臨した自分の権威を最大限に利用し、学校を私物化していた」(同前)

 学校の職員でもない自分の娘の口座に、裏金から大金を振り込ませることもあったといい、その強欲ぶりは底知れない。

教員には長時間勤務を強いるブラックぶり

 厚顔なのは、自身は甘い汁を吸いつつ、現場の教員たちには過重な労働を押しつけるなど、「典型的なブラック経営者」のマインドを兼ね備えていた点だ。

 不祥事が発覚する前の2013年には、中学受験の学習塾の情報誌に登場し、自身がトップを務める学校の劣悪な労働環境について、こんな風に語っている。

《本校では高3にもなると、ほとんどの生徒が休日も登校して勉強していますが、クラス担任も出勤し、その学習を応援しています。そんなエピソードからも、本校の教員がいかに愛情と熱意を持って指導に当たっているか、ご理解いただけると思います》

 休日出勤を無邪気に奨励するかのようなこの発言から、森山氏の経営者としての心構えが透けて見えるようだ。

(取材・文/浅間三蔵)

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