金正恩氏が5月訪ロへ、プーチン氏が贈る「手土産」は何か (1/2ページ)
米中との綱引き強まる可能性
北朝鮮に対する影響力を巡り、米・中・ロの大国間で駆け引きが激化しそうな気配が出てきている。
最も動きが活発なのがロシアであり、そこに米国がけん制球を投げ、中国が身の振り方を決めようとしている、というのが現在の構図だ。
戦闘飛行術競技大会を視察する金正恩氏/2014年5月10日
北朝鮮とロシアは昨年来、高官が往来を繰り返し、親密ぶりを内外に見せつけてきた。そして22日、遂にプーチン大統領の側近が、金正恩氏が5月に訪露すると明言した。
また、ロシアは最近、食糧やエネルギー面でも北朝鮮を積極的に支援しているフシがある。
デイリーNKジャパンでは、北朝鮮の市場動向を定点観測しているが、今年に入ってから比較的物価が安定。その理由としてロシアから小麦粉や原油などが輸入されているからだと内部情報筋は指摘する。一般住民の間からもロシアとの親密ぶりを歓迎する声は多い。
仮に金正恩氏が訪露すれば、特大の「手土産」を持たせる可能性もなくはない。
ロシアがそのような行動に出るのはひとえに、ウクライナ問題で対立を深める米国に対し、あらたな世界戦略で挑もうとしているからにほかならない。その世界戦略の中で、北朝鮮を親米路線に転換させないことは、大きな意味を持っているのである。
一方、米国は最近になってしきりと、北朝鮮の「核の脅威」を強調している。
たとえば、米軍で本土防衛を担当するゴートニー司令官は4月7日、「北朝鮮が核兵器の小型化に成功し、移動式の大陸間弾道ミサイルに搭載するようになる」との見解を述べ、強い危機感を示した。
それに先立ち3月25日には、ジェームズ・クラッパー米国家情報長官が下院歳出委員会の軍事小委員会に対し、北朝鮮が米国本土を直接攻撃可能な移動式大陸間弾道ミサイル(ICBM)を配備できる状態にあるとする見解を明らかにしている。