【大阪都構想】「17年で2634億円節約」大衆を惑わす橋下徹のウソ (2/2ページ)

デイリーニュースオンライン

行政組織は分割すると余計に経費がかかる

 ひとつの行政組織を5つに分ければ、行政が非効率になるのは自明の理だ。これまで一つの部局で済んだのに、同じような部局を5つも創らなければならないのだから、それも当然であろう。例えば人事や予算、庶務など扱う総務部門や議員たちの面倒をみる議会事務局などだ。それにこれまで一人の市長を選べばよかったのに、5人の区長を選ばなけれ ばならないのだから、それだけ余計な経費がかかることは間違いない。

 2001年1月、第二次森内閣の下、縦割り行政の弊害の解消と事務・事業の効率化と削減のために中央省庁を再編し、1府22省庁は1府12省になり、中央官庁の総務部門を相当する「大臣官房」などが統合されたが、経費削減のためにも行政組織をできるだけ統合し、スリム化しようというのが世の流れだ。 橋下氏の「都構想」はそれと反対のことをやろうとしており、明らかに時代に逆行している。反対派は「初期費用600億円は無駄なコストで、さらに運営費が毎年20億円かかる」と主張しているが、説得力がある。

 いずれにせよ、東京都と千葉県で行政マンとしての経験を持つ筆者に言わせれば、「大阪都構想」というのは、所詮は一介のタレント弁護士出身で、大阪府知事になるまでは地方政治家の経験も行政経験も持たない、単なる「素人」の思いつきに過ぎない。

 いずれにせよ大阪市民には「稀代のぺテン師」橋下氏の口車には乗せられず、くれぐれも賢明な投票行動を願いたいものである。

朝倉秀雄(あさくらひでお)
ノンフィクション作家。元国会議員秘書。中央大学法学部卒業後、中央大学白門会司法会計研究所室員を経て国会議員政策秘書。衆参8名の国会議員を補佐し、資金管理団体の会計責任者として政治献金の管理にも携わる。現職を退いた現在も永田町との太いパイプを活かして、取材・執筆活動を行っている。著書に『国会議員とカネ』(宝島社)、『国会議員裏物語』『戦後総理の査定ファイル』『日本はアメリカとどう関わってきたか?』(以上、彩図社)など。最新刊『平成闇の権力 政財界事件簿』(イースト・プレス)が好評発売中
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