【大阪都構想】「17年で2634億円節約」大衆を惑わす橋下徹のウソ (1/2ページ)

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引退を賭けた戦いの結果は?(橋下徹オフィシャルサイトより)
引退を賭けた戦いの結果は?(橋下徹オフィシャルサイトより)

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 大阪市を解体して5つの特別区の創設を掲げる「大阪都構想」の賛否を問う住民投票(5月17日投開票)の期日が迫ってきた。賛成なのは維新の党と地域政党「大阪維新の会」くらいで、自民・民主・公明・共産の各党の大阪府連はこぞって反対の立場だ。

 大阪市議や大阪市に選挙区を持つ国会議員たちが党派を超えて反対を呼びかけ、日頃は“犬猿の仲”の自民党と共産党の議員たちが仲良く宣伝カーに同乗し、口から唾を飛ばしながら「反対」を訴えるという世にも珍しい光景が繰り広げられている。

 そのせいもあってか、読売新聞社が5月8~10日に大阪市内の有権者を対象に行った世論調査によれば、反対派が優勢となった。共同通信・産経新聞・関西テレビ等の合同調査でも反対が賛成を8ポイントほど上回っているようだ。橋下氏は「住民投票で都構想が実現でなければ、政界を引退する」とまで言い切っており、このまま劣勢が続き、もし否決されるようであれば、政治生命が危い。

 追いつめられた格好の橋下氏としては、まさに背水の陣。今回の住民投票は「大都市地域特別区設置法」に基づくもので、一般の選挙とは違い、公職選挙法の適用を受けないから、いくらカネを使ってもかまわないし、運動期間や運動手段にもいっさい制限がない。ブログやビラやポスターに何を書こうが、電子メールを送ろうが、テレビCMや新聞広告を何回打とうが自由だから、橋下陣営のなりふりかまわない巻き返し工作が行なわれている。一説によると、橋下陣営は5億円もの大金を投入し、維新所属の市議は説明会50回、街頭演説100回のノルマが課されているという。

官邸と党で「両てんびん」をかける自民党

「都構想」に対する政府・自民党の対応は必ずしも一枚岩ではない。現地の自民党大阪府連は大反対だが、2016年の参議院選後の憲法改正発議を視野に入れる安部総理は改憲に前向きな橋下氏を取り込もうとの思惑もあってか、1月にテレビ番組で「二重行政をなくし、住民自治を拡大していく意義はある」などと述べ、いかにも「都構想」に理解を示しているように装っている。

 菅官房長官も5月11日、「二重行政を解消するのは当然。大阪市は同じ政令指定都市の横浜市よりも人口が100万人少なく、面積も狭いのにもかかわらずに職員の数が1万5000人多い。こうした問題をどう解決していくか。都構想も一つだ」などと述べ、理解を示す姿勢を崩していない。

 一方、党を預かる谷垣禎一幹事長は「大阪市がなくなるのはどうなのかと、京都選出の議員としては感じる。党府連の同士が必死の戦いをしている。大きなシンパシーを持っている」と府連を擁護し、同じ党三役の二階俊博総務会長も「都構想に賛成する気はない」と大阪府漣を側面支援している。自民党大阪府連は大阪市で「都構想」に反対する街頭演説を行なう党幹部の派遣を要請しているが、谷垣幹事長は党四役の派遣は見送る方針だ。

 政府・自民党はあえて官邸と党本部とで「都構想」に対する温度差の違いを装うことによって、どちらに転んでもいいように「両てんびん」をかけているわけだ。

 国民や大阪府・市民の中には「大阪府」が「大阪都」になると勘違いしている者が多いようだ。ここで橋下氏の唱える「都構想」なるものを簡単に説明しておくと、これは二重行政を解消するために大阪市を解体して5つの特別区を設置し、公選の区長によって区民に密着したよりきめ細かな行政サービスを提供しようとするというもの。以後、広域行政は「大阪府」が、地域行政は「特別区」それぞれが担当することになるが、地方自治法を改正しない限り「大阪府」がそのまま「大阪都」に変わるわけではない。「維新」はこれによって17年間で2634億円が節約できると主張しているが、反対派は新庁舎建設などの初期費用だけで600億円かかると反論している。

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