吉田豪インタビュー企画:爆笑問題・太田光「20年前から世の中で起こることは変わってない」(3) (1/4ページ)

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吉田豪インタビュー企画:爆笑問題・太田光「20年前から世の中で起こることは変わってない」(3)

 日本最強のプロインタビュアー吉田豪が注目の人物にじっくり話を聞くロングインタビュー。爆笑問題の太田光さん登場の第3回目は、小説執筆、明石家さんま論、自身の時事ネタ漫才、そして浅草キッドとの漫才対決について語る![前回はこちら]

小説や映画への欲求は隠せない

──ちなみにボクは、芸人さんで一番好きなのがさんまさんなんですよ。あの、お笑い以外はやらないっていうスタンスが。

太田 ああ、カッコいいですよね。

──たけしさんも好きだし、たけし映画も嫌いじゃないんですけど、多少のモヤモヤはあって。太田さんも大好きなんですけど、本とか書くとちょっとモヤモヤする部分があるんですよ。

太田 それはしょうがない。俺が隠せないところだから。要するにカッコよくなれないところであって。俺も芸人として考えたとき、さんまさんが一番カッコいいと思う。そことの闘いだけど、自分に負けるんだよね。

──小説を書きたいって昔から言っていたのになかなか書かなかったのには、そういう葛藤も関係してたんですか?

太田 いや、ただ書けなかっただけ。それは俺のなかでは過程だと思ってるの。俺はチャップリンにはなれないけれど、俺のなかにいつもあるのはチャップリンかバスター・キートンかで。キートンのほうが芸人として、コメディアンとしてカッコいいけど、チャップリンはコメディアンとしての枠を超えた人ってう意味でいうと、そっちにもあこがれるんですよ。植木等もカッコいいけど、森繁(久彌)もカッコいいなと思うから。

──森繁はコメディアン枠じゃないですもんね。

太田 うん。だから俺は、枠を超えた活動をして、なおかつコメディアンならいいんでしょって思ってるけど、そこまで到達できてないっていうだけですよ。要は小説を書いても、それがコメディアンに見える小説なら成立するんじゃないかってどっかで思ってて、それをやれてないっていうところでしょうね。

──そのハードルは高すぎますからね。

太田 たとえば談志師匠が、ホントはあの人は『芝浜』なんて好きな話じゃないはずなのにあれをやるでしょ。ホントは『粗忽長屋』とかああいうものが立川談志だって思ってるけど、人情噺もほかの落語家より俺のほうがうまいぞっていう、そこが隠せないんでしょうね。俺はそこまで才能があるって言いたいわけじゃないけど、やっぱり……そりゃ村上春樹の小説よりはもうちょっといいの書けるよってどっかで思ってるけど(笑)。それが自分に負けるんだろうね。コメディアンとしてはみっともないっちゃみっともないけど。

──やっぱり小説とか映画への欲っていうのが基本的にあるわけですよね。

太田 大元はチャップリンだから、最終的にはコメディ映画のいいのが撮れればいいんだけど、なかなかできてないってことですよね。さんまさんも意外と最初の出発点は人情派だったんだよね。『オールナイトニッポン』の2部をやってた頃なんかは。

──初期のラジオはそんな感じだったらしいですね。兄貴キャラで。

太田 兄貴キャラだったね、いまは封印してるけど。

──その時代のことをイジろうとすると表情が変わりますからね。

太田 変わる変わる! 俺も何度か突っつこうとしたことあるけど、ちょっと却下みたいな感じになるよ。

──ボクが『さんまのまんま』に出たとき(関西テレビでは2013年5月11日、フジテレビでは2013年5月18日放送)、当時の本を持参して朗読しようと思ったら、いきなり本を奪われてクッションの裏に隠されて、そのまま何もなかったように進行しました(笑)。

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