【ゲイ的保守論】盛り上がっているところ冷水浴びせてゴメンナサイ!スペシャル−その3

デイリーニュースオンライン

「主張」と「節度」の間で悩むことも
「主張」と「節度」の間で悩むことも

【ゲイリーマン発 日本のリアル】

 前記事では、渋谷区の同性パートナーシップ制度に引っ張られる形で盛り上がりを見せている「LGBT市場」が誇大広告なのではないかという筆者の見解と、数字のトリック、こうした誇大広告を続けることで結果的に日本のゲイコミュニティに後遺症を残すのではないかと論じてきました。

 最終回となる今回では、「人権」という言葉が孕む二面性についても考えていきたいと思います。

ゲイ的保守論-盛り上がってる所冷水浴びせてゴメンナサイ!スペシャル-その1

ゲイ的保守論-盛り上がってる所冷水浴びせてゴメンナサイ!スペシャル-その2

同性愛者のカップルが子供を持つことの議論

 LGBT、殊に同性愛者に関する議論になると注目されるのは、前出の「結婚」「LGBT市場」の他に「子どもを持つ権利」についての議論です。

 実際には、同性のカップルが人工授精等で子どもを持つことを「私は勝ち組」と豪語した当事者もいるほどで、こうした「LGBTの人権バンザイ!」的な風潮に水を差すことを言うのは、業界では永年一種のタブーを帯びたことでした。

 しかし今回はスペシャル最終回ということで、思い切ってこの議論にも切り込んでいきたいと思います。

人権を主張するのは結構。だけど生まれて来る子の人権は?

 筆者は、基本的に個人の意思が尊重される自由な社会になっていくことに賛成です。だからいろいろ注文はつけましたが同性婚にも賛成ですし、慎重になるべきところはちゃんとなっていれば、LGBT向けのビジネスが活性化することも個々の企業の責任で自由にやってみれば良いことだと思います。

 ただ筆者は、現在の日本において同性愛者が子供を持つことには、前出の2点とは比較にならないほどの重大な懸念が何点もあると考えております。

 筆者が恐れるのは、その1で論じたような、結婚生活に伴って生じる義務や生活規範のことを考えず、単に「結婚式」に憧れて結婚したような同性カップルが、徒に人工授精等で子どもを作って、2人の関係が破綻したら子育てを投げ出してしまうような例が頻繁に発生しないかということです。

 また、現在の日本において、正直な所片親のお子さんでさえそれを理由としたイジメが発生しています。本当に悲しいですが、現実としてそういうことがあります。

 そうした日本の現状から鑑みて、同性愛者の2人が親ということは、そのことを原因としたイジメに遭うリスクがより高くなると考えられます。もちろん同性愛者が子どもを持つことを「間違っている」と強く言える人はいないかもしれませんし、建前上、そういう人権も認めていこうというのが最近の傾向だと思います。

 しかし、生まれてきたお子さんが辛い思いをする可能性が高いことが判明している以上、こうした意思決定は非常に慎重になるべきなのではないでしょうか。

「それは、そういう家族のあり方を奇特な目で見る日本の社会の側が間違っている」

という声も聞こえてきそうですが、生まれたその瞬間からその「日本社会」と戦わざるを得ない存在として生を受ける子供自身の意思の尊重や人権は、一体どこへ行ってしまったのでしょうか。

 筆者は否定はしませんが、この件の「人権」の主張に関してはより高度な意思決定と慎重さが求められる種類の議論であることは間違いがないと考えています。

それでも生きていく。この国で、この社会で

 いろいろと問題点はたくさんありますが、僕はこの日本という国が好きです。

 インテリ層のゲイは「日本は欧米に比べて法制度が遅れていてダメな国」という話が大好きですが、裏を返せば欧米等の「宗教観」に源泉を持つ差別感情は、日本の「なんとなくわからないから怖いし気持ち悪い」という非宗教的差別感情とは比較ならないほど根深く、激しい暴力や弾圧を引き起こしてきた事実があります。

 だから、欧米諸国の場合法律や制度で同性愛者の身体と生命を守らないといけないという発想になり、結果として現在の欧米は非常に先進的な法制度を持つこととなりました。

 翻って、ここ日本では宗教などのように普遍性を持った価値観でもって「同性愛者憎し!抹殺せねば!」と考える人はかなり少数派で、ほとんどの人は「私に迷惑のかからない範囲であれば自由にやっていればいいんじゃない?」という態度で、あからさまな差別をする人も、神の教えに反する云々ではなく、「”私は”理解できないナァ~」くらいなもの。

 こうやって考えると、日本社会は世界的に見ても同性愛者にとっては意外と安全に暮らせて、東京には世界最大規模のゲイタウンもあり、なかなか楽しく暮らせるところです。

 権利を主張していくことも大事ですが、そのことに気が取られて今もっと現実的に議論すべきことがおざなりになったり、今享受する権利がある幸福感、楽しいこと、嬉しいことを「日本社会憎し」でみすみす逃していくのは、すごくもったいないことだと思います。

 そんなわけでバンコクのソンクラーンもびっくりなほどの水かけ祭り状態な記事3連発でしたが、いかがでしたでしょうか。

批判はお手柔らかにお願いします(笑)。それでは!!

著者プロフィール

ゲイライター

英司

東京・高円寺在住のアラサーゲイ。ゲイとして、独身男性として、働く人のひとりとして、さまざまな視点から現代社会や経済の話題を発信。求人広告の営業や人材会社の広報PR担当を経て、現在は自社媒体の企画・制作ディレクターとして日々奮闘中。都内のゲイイベントや新宿二丁目にはたびたび出没(笑)

筆者運営ブログ「陽のあたる場所へ —A PLACE IN THE SUN—」

「【ゲイ的保守論】盛り上がっているところ冷水浴びせてゴメンナサイ!スペシャル−その3」のページです。デイリーニュースオンラインは、LGBT社会などの最新ニュースを毎日配信しています。
ページの先頭へ戻る

人気キーワード一覧