【年金情報流出】仕分けの女王・蓮舫議員も戸惑う霞が関官僚のサボタージュ

デイリーニュースオンライン

蓮舫オフィシャルサイトより
蓮舫オフィシャルサイトより

 今国会では集団的自衛権の激しい議論が続き、注目されている。他方で、日本年金機構から125万件もの個人情報が流出した問題は、全然進展が見られない。

 厚生労働省が個人情報流出を報告したのは5月28日。直後から政府や関係省庁などは対応に追われているが、政府も厚労省もいっこうに情報漏れの詳細を明らかにしようとはしていない。

 そうした政府や厚労省を追及する立場の民主党は、6月2日に年金情報調査対策本部を設置。蓮舫参議院議員を座長に据えて、厚労省の情報管理の甘さや今回の件の原因究明、再発防止の取り組みに着手している。

 蓮舫議員と言えば、事業仕分けで厳しく官僚を追及したことが記憶に新しい。事業仕分けでは、持ち前の鋭い口調で官僚にダメ出しし、税金の無駄遣いにメスを入れた。それらが国民から喝采を浴び、蓮舫議員の人気は急上昇した。

 以降、蓮舫議員はマスコミから“仕分けの女王”ともてはやされるまでになり、自身のトレードマークにもなった。事業仕分けで活躍した蓮舫議員は先輩議員を押しのけて行政刷新担当大臣にまで就任している。それだけに民主党は蓮舫議員が年金情報漏洩問題を追及するのにもっとも適役と考えたのだろう。

蓮舫議員の質問にのらりくらりとかわす官僚たち

 ところが、民主党の思惑は大きく外れた。これまでに開かれた会議では、仕分けの時のような舌鋒は鳴りを潜めている。それどころか、居並ぶ厚生労働省官僚たちや日本年金機構の幹部とのやりとりで蓮舫議員が困惑する場面も頻繁に見られる。

 その理由は会議における厚労省官僚や日本年金機構幹部の露骨なサボタージュにある。例えば「資料はいつまでに用意できますか?」といった質問をしても「いつまでとは明確には申し上げられません」と返し、「明確な期日でなくても大丈夫です。1カ月後とか半年後、1年後といったざっくりとしたスケジュールでもいいので提出できる日を教えてください」とさらに質問をしても「繰り返しになりますが、日にちは答えられません」といった感じになってしまう。

 資料や書類の提出といった簡単なことでも、こんな有り様なのだから、情報管理の質問になると、「セキュリティに関わるので、ここでは申し上げられません」「それについては現在まだ調査中なので、答えられません」といったやりとりばかりになってしまう。官僚たちの壁に、さすがの仕分けの女王も戦闘意欲をそがれてしまい、議論は核心に迫れない。

「時間が経てば年金の情報漏洩問題は報道されなくなるし、国民も忘れてくれる。結局、官僚たちは嵐が過ぎるまで、じっとやり過ごすつもりなのでしょう」と、民主党関係者は厚労省官僚や日本年金機構幹部たちの態度に苛立ちを隠さない。ここまで厚労省官僚や日本年金機構幹部が頑なに情報をまったく開示しないのはなぜなのか?

「仕分けの時は、曲がりなりにも民主党は与党でしたから、『資料を出せ』と言えば官僚は言うことを聞くしかなかった。しかし、今は自民党1強で、官僚が民主党をはじめ野党を相手にする気がないのです」

 民主党がこんな調子だからと言って嘲笑するわけにもいかない。そもそも自民党が年金の情報漏洩問題で厳しい追及をしていない。自民党もこの問題には消極的だ。仮に情報漏洩によって年金受給者が金銭的被害に遭えば、それは税金で補填されることも十分にあるだろう。ということは、国や官僚のミスを国民が尻拭いするということでもある。

 この事件は誰も責任を取らず、善後策も再発防止策も講じられないままそのうち忘れられる。官僚腐敗ともいえる状況は、政府に甘く野党をないがしろにして政治を進める安倍自民1強の弊害と言えるかもしれない。

(取材・文/小川裕夫)

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