一定の割合で発生する身体障害や奇形は人類の進化に重要な役割を果たしていた可能性(英研究) (2/3ページ)

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自分の子孫の半分の遺伝子は他人からもたらされるのだから、単純に優れた遺伝子を持つかどうかといった問題ではない。潜在的な配偶者のストックが少ない状況では、提供される遺伝子を受け入れなければならない。ときには親族、あるいは種の垣根を越えた交配が起きることもある。そして、こうした状況では身体障害者が生まれる確率が高くなる。そこで必要となるのが、障害を抱える子孫と共存する能力である。

 最新の化石やDNAの調査の全てが人類進化の再考を促してくるのは、生物学者によってもっぱら利用されるモデルは、大きな人口の各個体による激しい競争が存在する分岐階層モデルであることが原因だ。これは細菌やミバエなどには有効だが、人類学的な証拠とは整合的ではない。だが、太古の人口は小規模であることが多く、原人が現代よりも複雑な性活動を行っていたという仮定に則れば、最新の証拠は、かなり理解しやすいものだという。

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初期の祖先アウストラロピテクス・アファレンシス(歩行/木登り型)とそれより新しいホモ・エレクトス(歩行/長距離走行型)の身体的な特徴の差異。遺伝的ボトルネックが、短い腕、小さな足といった”奇形”の原因となり、人間の進化を促したのかもしれない。

 従来の競争モデルは、種における遺伝的障害の高い発生率は脅威と見なすように促す。しかし、人類学的証拠が示唆することとは、遺伝的障害の頻度は遠い昔においてかなり高かったということだ。先祖がこうした脆弱性に対処するうえで、思いやりや工夫、柔軟性が大いに役立ったと考えることは理にかなっている。

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