佐山聡が語る猪木「本当にやっちゃうんじゃないか、みたいな空気があった」 (2/5ページ)

日刊大衆

でも、皆、負けず嫌いだし、お互い意地があるから2時間やっても極まらないんです。僕なんて歯が折れてもギブアップしなかったですから。スパーリング中は、歯が折れた痛みも全然感じないんですよ。今思えば特殊な環境ですよね。じゃあ、なぜそこまでやっていたかといえば、『プロレスはストロングスタイルでなければならない』という猪木さんの思想があったから。関節技や、ガチンコの部分はなぜあるのかっていうのが、もしかしたらレスラー自身もわかってなかったかもしれませんが、リング上で闘いを見せる上では必要なんだって、そういう風に教え込まれてましたからね。みんな『俺たちがいちばん強い』と思ってましたし、今考えると馬鹿げてると思うけど、当時は、藤原さんたちと一緒に『俺たちってよ、世界で5本の指に入るよな』とか話してました」

上の選手になればなるほど、誰とスパーリングをやっても極まらない。「これに勝つには打撃を身につけるしかない」と考えた佐山は、新日本に黙ってキックボクシングの道場に通い出す。当時の新日本でキックを習っている選手は佐山しかいなかった。

「今と違って、当時はほかの道場に行っちゃいけないような空気がありましたからね。でも、ある日、僕がキックの道場に通っていることが新日本にバレた。叱られるかな……と思って覚悟していたら、猪木さんは褒めてくれたんです。僕が強くなるためにやってることだったからでしょう」

タイガーマスクとしてブレイクを果たしてからも、佐山は控室が一番怖かったという。 

「タイガーマスクの全盛期でも、猪木会長や山本小鉄さんに怒られるんじゃないかって、ビクビクしながら試合をやってましたよね。今の選手がやるようなクルクル回ってポーンって返してみたいな、あんなのはあり得ない。僕のころなら、絶対に猪木会長や山本小鉄さんに怒られますね。たとえ飛んだとしても、勝負としての理論がつながらないと、やっても意味がないと思うんですよ。僕は今、リアルジャパンプロレスの若い選手には『猪木会長のビデオをよく見ろ。タイガーマスクのビデオは見るな』って言ってるんです。僕のタイガーマスクの動きは基礎体力でやってることであって、無理に作ってる動きではないんですけど、若い選手はそれを理解できないから、派手なところばかりを見て動きを作っちゃうんです。

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