世界でも注目を浴びる日本のひきこもり。その実態を浮彫りにしたドキュメンタリー映画「ひきこもり - 沈黙の声を聴く - 」 (2/3ページ)

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推定100万人とされる引きこもりの人たちは、家族や社会からのプレッシャーに押しつぶされたケースが多い。

 自身にも同じ経験があるという引きこもりの専門家、加藤隆弘氏によれば、西欧においては両親は子供に外に出ていくよう促すが、日本はそうではなない。遊びも変わり、全ては画面上でのものだ。現実の状況ではなくなってしまった。

 また、文化的な要因も指摘される。恥の意識や母親との相互依存が強いのだ。

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引きこもるほどに、外に出ることが困難に

 その原因や治療方法はほとんど理解されていないが、加藤氏は次代の若者たちの引きこもりを止めようと決意を固めている。同氏は九州大学で問題の解明に当たるチームを率いている。加藤氏によれば、ほとんどの研究は心理的な側面を掘り下げるものだが、引きこもりは単なる精神疾患ではないのだそうだ。この問題には社会的、生物学的な側面も関連しており、多角的な診断を行う必要がある。

 引きこもりから立ち直るまでの道のりは長い。その期間が長ければ長いほど、復帰がむずかしくなる。加藤氏が診る23歳の患者は、セラピーを受け始めて1年になる。押し付けがましい母親と学校でいい成績をとらなければというプレッシャーが原因で引きこもるようになった、と彼は話す。すべてに蓋をして、何も考えず、何も感じないでいたかったらしい。

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ひきこもり研究の専門家、加藤隆弘氏

コミュニケーションと信頼の再構築がドアを開く鍵

 加藤氏によれば、家族との関わりが変化しない限り、引きこもりが治ることはないという。つまり、家族全員がカウンセリングに参加する必要がある。その最初の一歩は、コミュニケーションと信頼の再構築だ。

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