角膜10万円、肝臓200万円…今なお蔓延る「臓器売買ビジネス」の実態 (2/2ページ)

デイリーニュースオンライン

「脳死で心臓を売るなら、仲介者でも500万円くらいは貰える。最近だと、入退院を繰り返す高齢者の死期を見越して、心臓の臓器売買を病院側に申し出る家族もいるくらいだ。看護師あたりからそんな情報を聞いたら、さりげない形で臓器提供される人物の関係者に連絡が取られる。看護師に個人情報を提供して貰うために小遣いも渡してるよ」(前出・同)

 とはいえこの臓器売買ビジネス、業界としては今ひとつ盛り上がりに欠ける。

「肝臓と腎臓なら、ビジネスとしてはせいぜい数百万円程度だ。臓器提供者に200万円渡し、執刀した医師たちに100万円程度、そこにブローカーの手数料で100万から200万円、実際に肝臓や腎臓を買うなら最低600万円用意しなければならない。もし1000万円払ったという者がいたら、それはブローカーがそうとうボってるね」(同)

売血は400ccあたり5000円が相場!

 実のところ、こうした臓器売買ビジネスの実態は警察ほか、地方自治体でも把握している。生活保護行政の経験もある大阪市の課長代理は次のように証言する。

「ケース(註:生活保護受給者のこと)が、突然、数日間連絡が取れなくなったり、どこかに入退院した、手術したという情報が入れば、すぐにその背景を本人と面談するなどして確認に走ります。売るモノのないケースたちが売れるものはもはや自分の体、臓器しかありませんから」

 また、臓器売買ではないが非合法の売血ビジネスも大阪市では蔓延っているという。

「時折、大阪市西成区の三角公園や、飛田新地近辺で売血業者がいるとの情報は耳にしています。400CCで5000円が相場だとか。特にホームレスは常備薬を服用していない者が多いので血液提供には適していると言われているそうです。もし生活保護受給者で売血業を行っている者が発覚すれば、きちんと“収入”としてカウントします」(前出・大阪市課長代理)

 みずからの臓器を売るという高いリスクの割には意外にも収益性薄い臓器売買ビジネスの世界。それでもこのビジネスが細々と続くのは「何も売るモノがない者」でも市場に参加できるという魅力があるからかもしれない。

 もっともこの臓器売買ビジネスは非合法である。その市場への参加は犯罪だ。

(取材・文/川村洋)

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