【安保法制】「戦争反対」の声を「利己的」と断罪する自民党議員はいかがなものか|やまもといちろうコラム (2/2ページ)

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 ただし、左翼系団体の活動員が関与していたり、戦争法案等のレッテルを貼って健全な議論に発展しようもない主張が含まれているのは残念なことですが、それはそれで「意識赤い系」の政治活動についての分析はまた後日したいぞとは思っています。

 で、ある意味で「そう言う議論が若い人から出てくること自体は健全な民主主義のあり方」だと思っていたら、上記のような武藤某という若手議員が出てきて「極端な利己的考え」と言ってしまうのは凄い。戦争行きたくないのは当たり前であって、なんで青春を謳歌し友と語り恋人と愛情を育み子を育てるべき人々に、鉄砲持たせて戦場に行かせる必要があるのかを考えれば、そういう懸念について反対の声を上げるのはごく自然なことでしょう。

 言うべきことがあるとするならば、一連の安保法案は憲法違反の疑いが強いとはいえ、日本の安全を文字通り保障し、戦争をしないようにするために然るべき軍備を整え、日本を世界の時流に合わせた国力に見合った戦力を持ち運用できる国にしようという話で、まあそれはそれで戦争をしないために力をつけて行使できるようにしておくという準備は必要じゃないですか、というのが自民党の考えです。それを堂々と言えばいいわけですよ。

 利己的個人主義だから戦争に反対なのではなく、与党も野党も戦争をしない日本にするためにはどういう安全保障を考えるべきかを議論しているわけで、そこに馬鹿が出てきて「戦争に行きたくないのは利己的だ」と煽ること自体が軍国主義的な発想です。公共心があれば戦争に行くのかという話であり、太平洋戦争の最中だって、仕方なく戦争にいって、しかも戦死よりも補給不足で餓死や病死が多かったり、まあ悲惨だったわけですよ。そら負けますわな。

 武藤貴也さんはこれらの暴言を撤回しないとのこと。言論の自由を認めるのも民主主義の根幹ですし、好きにすればいいんじゃないかと思いますが、政治的に正しいかどうか、いまのこの状況でいみじくも自民党議員の肩書きを持った人間が行うべき発言かは、よくよく胸に手を当てて考えてみるべきです。酷すぎて腰が抜けるレベルの失言ですし、政治家として絶対に上を目指して欲しくない筆頭級の人材の一人と見做されても良いのだ、ということであれば、オウンゴール覚悟で思うことを思い通り発言し続けていって欲しいと願っております。

著者プロフィール

やまもといちろうのジャーナル放談

ブロガー/個人投資家

やまもといちろう

慶應義塾大学卒業。会社経営の傍ら、作家、ブロガーとしても活躍。著書に『ネット右翼の矛盾 憂国が招く「亡国」』(宝島社新書)など多数

公式サイト/やまもといちろうBLOG(ブログ)

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