世界にはその業績や功績が高く評価され「偉人」と称えられる人がいる一方で、素晴らしい仕事をやり遂げたにもかかわらず、その足跡があまり知られていない人もいる。
「高岡正明」という名前を聞いても、ほとんどの人は彼がどんな人間で、何を成し遂げたのかわからないだろう。しかし、その功績は大きく、彼の開発した「どんな気候でも咲く桜」である「陽光」は今も世界で咲き誇っている。
『陽光桜 非戦の誓いを桜に託した、知られざる偉人の物語』(高橋玄/著、集英社/刊)は、この「知られざる偉人・高岡正明」の実像に迫る。
今回はその著者であり、高岡の生涯を描いた映画『陽光桜-YOKO THE CHERRY BLOSSOM-』で監督・脚本を務める高橋玄さんにお話を聞き、高岡正明という人物の持つ魅力と信念がどのようなものだったのかを語っていただいた。
――『陽光桜 非戦の誓いを桜に託した、知られざる偉人の物語』についてお話をうかがえればと思います。まず、映画の製作で故・高岡正明さんの人生に触れた時の第一印象からお聞かせ願えますか?
高橋:誤解を恐れずに言えば、私は初めからこの物語を美談だとは思っていませんでした。高岡正明という人は、もっと凄まじい、ある意味では修羅の道に近いような、闘いの現実のなかに生きた人物ではないだろうかと思ったんですね。だからこそ私は興味を抱きました。
――その功績の大きさの割に高岡さんの名は知られていません。それだけに本書を読むと「こんな人がいたのか」という新鮮な驚きがありますが、高橋さんからみてこの人物の一番すごい点はどこにあるとお考えですか?
高岡さんは、自分が戦地に送りだした教え子たちを死なせてしまったという自責の念を生涯背負った。これは「義」という概念につながる、本来、激しい怒りのような意志のはずなんですね。しかし、彼は常に温和な笑顔を絶やさず、人との争いを忌避して生きた。修羅の道のような人生を生きているのに、その激しい形相は自分の内側に向けられていた。
知られざる偉人・高岡正明の功績とは?
2015.08.19 20:00
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