秋津壽男“どっち?”の健康学「夏でも増えている空咳の正体は?1週間以上続くなら咳ぜんそくを疑え」

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秋津壽男“どっち?”の健康学「夏でも増えている空咳の正体は?1週間以上続くなら咳ぜんそくを疑え」

 以前は風邪といえば、冬の季節に多い病気と言われていましたが、最近では夏風邪にかかる人が増えました。あなたの職場の周囲にも、いつまでもゴホゴホと咳をする人がいませんか?

 ここで質問です。痰の出る咳と長期の空咳では、どちらにより重大病の危険性が高いでしょうか?

 意外と皆さん、ご存じないのが、痰の“正体”です。痰とは、肺へのウイルスの侵入をやっつけようと白血球が働いた結果のゴミであり、インフルエンザなどの感染症になると痰の量も多くなります。一般的には抗生物質で治療できるため、病院で治療しやすい症状です。

 一方、痰の出ない空咳の症状が長期化する場合は注意が必要です。代表的な例としては、咳ぜんそくが挙げられます。咳により気管支が痛めつけられる症状が長期間続くことで風邪と勘違いしてしまいがちですが、風邪薬ではなく気管支ぜんそくの薬に切り替えると治まります。また、ぜんそくと聞くと一生続くイメージがありますが、一過性の異形ぜんそくなのでキチンと治療すれば恐ろしい病気ではありません。

 咳ぜんそくを疑う期間の目安としては、1週間以上咳が続く場合は、医療機関を訪ねるべきでしょう。

 いずれにしても咳ぜんそくが近年増えている要因としては、アトピーなどのアレルギー疾患が増えていることもさることながら、忙しい現代社会では病院で診察を受ける時間が捻出できないといった事情や不景気の昨今、風邪ぐらいでは病院に行かないといった経済的な要因も考えられます。

 同様に梅雨の時期に気をつけていただきたいのが、夏型過敏性肺炎です。この病気は痰の出ない咳から始まり、息切れを起こして呼吸困難が続きます。原因は梅雨の時期に生える白いカビ(トリコスポロン)です。このカビは温度が20度以上、湿度が60%以上になると繁殖をし始め、胞子をたくさん飛ばし体内に侵入して肺炎を引き起こします。古くなった木や畳、カーペットなどに生えやすく、キッチンの床下やお風呂・脱衣所など風通しの悪い場所も要注意です。

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