終身雇用制度が終焉を遂げ、少子高齢化によって年金制度の維持も危ういこれからの時代。
もはや、会社からの給料だけで穏やかな老後を迎えられると思っている人は少ないでしょう。そのためか、「お金がお金を生む」資産運用に着目し、株式や投資信託などで少しでも金融資産を殖やそうと試みる現役世代が急激に増えています。
ただし、投資してうまくいくケースはそれほど多くはありません。特に株式投資においては、失敗して大損し、借金を抱えてしまう人もいます。
タイミングや予測の問題など、表面的な原因も関係していますが、より大きな影響を与えているのは「心理現象」です。
よくある失敗のうち、2つの心理的な原因について解説したいと思います。
■1:損したくない気持ちが強すぎて失敗する「プロスペクト理論」のワナ
失敗でもっとも多いのが、「ちょっと株価が上がった時点で株を売ってしまい、反対に株価がどんどん下がる局面で損切りの決断ができず、大損をしてしまう」タイプです。
基本的に、株価市場の動きは完全に予測できません。
テクニカル分析やファンダメンタルズ分析などにより、ある程度の予測は可能であるとしても、大震災などのような大きな災害や、リーマンショックのような大規模な金融危機の発生については誰も予測できないのです。
また株価の動向は、一人の意図でコントロールすることはできません。
つまり株式投資の場面では、「こうなってほしい」という期待や執着を捨て、株価変動に左右されることなく、市況を冷静に客観視し、分析する「大人の態度」が必要なのです。
同時に、保有株式の企業の不祥事の発覚や大災害、大規模な経済事件が発生した場合には、いさぎよく損切するだけの胆力が欠かせません。
しかし、そういった熟慮や考察もなく、ただ「お金を働かせよう」「不労所得」「ラクして稼げる」といった言葉に惑わされて株式投資を始めた場合、株式市況の見方や構え方はもちろんのこと、自分の感情の動き方もコントロールの仕方もわかりません。
そのため、株価の動向に一喜一憂してしまうのです。