平成25年からスタートした税務調査手続きの法制化という制度の影響もあって、現在の税務調査では質問応答記録書という資料が調査官によってよく作られるようになりました。この書類は、納税者から聴き取りをした内容をまとめた資料で、原則として調査官と納税者のQ&A形式で作られます。
質問応答記録書を作成するのは、納税者の供述を課税の根拠とするためです。実際のところ、質問応答記録書は刑事事件における取調調書と同じような意味合いを持っており、裁判などで証拠として採用されます。
■押印が要請されるが
国税の内規では、調査官が作成した質問応答記録書については、作成後納税者に内容に誤りがないかを確認させ、署名押印を求めることになっています。この資料に署名押印を要請するのは、質問応答記録書の証拠能力を高めるためです。
このため、署名押印は原則しない方がいいです。納税者に任意で提出してもらう一筆と同様、この質問応答記録書についても、納税者の協力を得て調査官がが作るものですから、署名押印を拒否することはできるとされています。
ただし、なぜ拒否するのかその理由を聞かれます。その上で、「内容に間違い無い旨は認めたが〜の理由で署名押印を拒否した
と記録されます。
■作られただけでは証拠にはならない
質問応答記録書は非常に仰々しい書類ですので、作られるとそれだけで大きな証拠になると誤解されることがありますが、実際のところは、押印しなければそれほど大きな証拠力はありません。このため、国税は押印を要請したり、間違いないと確認しているなどと記入して証拠力があるような演出をしているのです。
このため、押印は原則として拒否し、内容を何度も何度も確認して誤りがあれば調査官に申し出ましょう。特に、税務調査の際は海千山千の経営者でも調査官のプレッシャーにやられていますので、確認が甘くなりがちですから注意してください。
なお、押印を拒否する理由は「家族から押印するなと言われている」であるとか、「質問応答記録書のコピーが交付されないため怖い」であるといった内容でも問題ないとされています。
税務調査にも取調調書が存在する!押印拒否したらどうなる?(松嶋洋)
2016.10.11 21:00
|
相談LINE
ピックアップ PR
ランキング
総合
社会
1
「西洋医学×漢方×手相」という異色アプローチ 標準治療では救いきれない患者と”科学的根拠”の境界線
TREND NEWS CASTER
2
「個人が変わっても組織が変わらない」のはなぜか? エグゼクティブ・コーチングの盲点を突く「社長+幹部一体型」の勝算
TREND NEWS CASTER
3
なぜビル清掃予算は「30〜55%」も消えるのか?多重下請け構造の限界 ――多重構造の無駄を省いた「科学的清掃」の勝算
TREND NEWS CASTER
4
「受診者が最大3倍に」150円の自己負担でも断る人が皆無だった理由 ――がん検診の「心理的ハードル」を下げる環境整備
TREND NEWS CASTER
5
なぜ都市部で「園庭を知らない子ども」が増えているのか? 私立保育所の7割が園庭なしの危機と、幼児教育が向き合う「体験格差」
TREND NEWS CASTER
6
なぜ「AI PC」はビジネス価値に転換しきれていないのか? ――クラウドの課題を克服し、ローカル処理が迫る「業務基盤の再設計」
TREND NEWS CASTER
7
AIとロボティクスの融合がもたらす創薬プロセスの「最前線」 新薬開発における自動化と人間の役割
TREND NEWS CASTER
8
ブームに沸く「一棟貸し」で、いま勝ち残るビジネスモデル ――1000坪の古民家再生にみる、地方宿泊のニーズ変化と運営のリアル
TREND NEWS CASTER
9
なぜ夏は朝から疲れているのか? 猛暑・熱帯夜に負けないための睡眠対策とケアの視点
TREND NEWS CASTER
10
住宅リフォーム「価格だけで選べない」時代の到来――進む“シンナー不足”と業界の新たな課題
TREND NEWS CASTER