子どもたちが未来の選択肢を奪われる国 ホンジュラスと若者ギャング団「マラス」の今

| 新刊JP
『マラス』(集英社刊)

中米の小国ホンジュラス。
北と東をカリブ海に面した人口約810万人のこの国は、北中米最貧国の一つとして知られている。主な産業はバナナやコーヒーの栽培。経済規模は日本の鳥取県と同じレベルだ。

そしてこの国は、「世界一治安の悪い国」としてたびたび名前が挙がる。

一般市民の間にも麻薬が出回り、暴力をともなう犯罪が日常的な光景となっている。そしてそうした犯罪は大人だけではなく、子どもたちを巻き込んだものだ。

フリーのジャーナリストであり、学生時代からラテンアメリカの貧困問題と関わってきた工藤律子さんは、2014年9月、とある理由からこのホンジュラスという危険な国を取材することになった。

 ◇

――工藤さんは首都のテグシガルパと第二の都市であるサン・ペドロ・スーラで取材を行っています。特にサン・ペドロ・スーラは最も治安の悪い都市としても有名ですが、どのような雰囲気なのですか?

工藤:まず、私たちがイメージするような「都市」というような場所ではなく、行ってみるとかなり田舎です。テグシガルパも人口100万人を超えているけれど、「本当に首都?」と思うくらいに小さいイメージです。

サン・ペドロ・スーラはこじんまりとした町で、ちょっと都会かなと思えるところは、中心部だけ。あとは結構農村のような雰囲気ですね。

だから、初めて行くと、なぜ危険なのかが分からないと思います。でも警察や軍警察の車両とよくすれ違うなあという感じで。

――貧富の差は大きいのですか?

工藤:はい。貧困層が圧倒的多数なので、国全体を見ると貧しい人しかいないと思うかもしれません。もちろん富裕層もいますが、少数です。代々お金持ちで、米国を中心とする外国資本と組んでビジネスをしているので、お金は米国や富裕層にばかり流れます。こうした構造がある限り、貧困問題は解決できないと思います。

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