北極から約800キロ離れた先、カナダ北部の準州ヌナブトのエルズミア島に「アラート」というコミュニティがある。永住人口がある場所としては世界最北だ。
最も近い人口集中地域は南に540キロほどいったグリーンランド。カナダ国内となると、2000キロも離れている。アラートは北極にとても近く、軌道が地平線の下に隠れてしまうため、通信衛星に接続できないという。
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■ 4か月間太陽は沈まない。10か月間は雪で覆われている。
アラートでは気候も過酷だ。4ヶ月間は暗闇に包まれ、4ヶ月間は太陽が沈まない。太陽が沈まないと言っても、正午でも地平線より30度以上高く登ることはなく、土地は常に凍っていて、1年のうち10ヶ月は雪で覆われている。もちろん、冬は極寒で気温は常に氷点下30度。夏のピーク時でも、気温は数度にしかならない。
氷と雪に覆われた遠隔地だが、一年を通してここで暮らしている人たちがいる。
とは言え一般市民ではない。ここにいるのは、カナダ軍基地の無線諜報の通信傍受施設を維持するためのカナダ陸軍と、カナダ環境省の気象観測所と全球大気監視(計画)の2つの研究所で働く科学者たちだ。彼らのようにこの土地で暮らす人たちは通称「選ばれし凍える者」と呼ばれている。