大阪北部地震の発生で、専門家が口をそろえて指摘するのが、「今後数十年以内に南海トラフ地震が発生する」というものだ。だが、それだけだろうか。今回の地震発生のみならず、日本列島そのものがきわめて活発な地震地帯であることは間違いないようだ。
東海大学海洋研究所地震予知・火山津波研究部門長の長尾年恭教授に聞いた。
「長期的に見れば、2016年4月に発生した熊本地震(M7.3)、同年10月に起きた鳥取中部地震(M6.6)、今年4月に起きた島根県西部地震(M6.1)、そしてまた今回の地震も、来たるべき南海トラフの巨大地震が最終段階に入ったと位置づけられると思います。前回の南海トラフ地震の前には鳥取地震、河内大和地震などが発生したことが知られていますが、さらに歴史を遡って見ていきますと、1925年の北但馬地震(M6.8)などもあったことがわかっています」
関西圏で記憶に新しいのは、1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災(M7.3)だろう。神戸の繁華街はもとより、兵庫県全域に及んだ犠牲者は実に6434名。さらには、5年前の2013年には淡路島地震(M6.3)も発生しているだけに、西日本もまた、常に巨大地震の危険にさらされていると言っていい。
それだけではない。今回の大阪北部地震の震源と有力視されている有馬-高槻断層帯は約400年前、慶長伏見地震が発生しており、日本列島を東西に走っている中央構造線が活性化するだけでなく、他の場所でも地震が起こる可能性はあるのか、気になるところだ。長尾教授は言う。
「今回の震源が有馬-高槻断層帯によるものかはまだ議論が分かれています。ただ、熊本地震の発生もありましたし、中央構造線沿いの地震活動が活発化するという可能性はあります。また、M6クラスの地震は日本中、どこでも発生する可能性があります」
つまり、日本列島のどこにも「逃げ場はない」というのである。しかも、約400年前の慶長伏見地震では、大規模地震が三つ続いたため、大地震が連鎖する可能性についても、慎重ながら注意を呼びかけている。
「熊本地震からすでに26カ月が経過しています。ただ、地学的には1週間も26カ月もあまり変わらないという考えもあります。