名物ブログの管理人は大体大HC。同大戦に見る「駆け引き」のおもしろさ。

| ラグビーリパブリック

 インターネット上で支持されるラグビーの戦術家が、古豪のスタイルを現代的にしつつある。

 大体大ラグビー部でヘッドコーチを務める井上正幸は、2013年7月よりラグビー関連のブログを運営。プロフィール欄には「豪州コーチング資格、レベル2保持者」と記し、世界で共有される戦術の意図や用語の定義などを解説する。テストマッチから全国高校ラグビー大会まで、各種ゲームの分析もおこなっている。

 例えば最近では、キックでの陣地の取り合いに関して複数のケーススタディをアップ。グラウンドの中央に接点を作る意図、端から端までパスを振ってから球を蹴る事例などを図解付きで説明する。

 後方でキックに備える相手バックスリーの動きを把握したり、自軍の展開に対して相手の守備陣形がどう動くのかを見定めたりすることで、最終的にキックを蹴るべき場所を正しく決められるとした。

<どのチャンネルを攻撃することで誰をブレイクダウンに巻き込めば、次にどこにスペースができるか予測することができる>

 大量の投稿は指導者や選手の思考を整理しそうで、Twitterなどで使用される「オルソ」「オルソ井上」というアカウント名はファンからも注目される。ちなみにこの「オルソ」の由来は、井上の勤務先で医療系製品を扱う「オルソテック株式会社」にちなんだものだ。

「いままでの成功体験、自分の好きなプレーについて、本当はもっとうまく取り除いてあげないといけないのですが、そこは僕の力量不足です。こういう試合をしていただいた同大さんには感謝しかありません」

 井上本人がこう語ったのは11月18日、兵庫・神戸ユニバー記念競技場でのことだ。関西大学Aリーグ第6戦目で、同大に24-31で惜敗。好機におけるプレー選択の誤りや接点での反則がスコアに影響したとして、悔しさをにじませていた。

「同大さんは個々の能力が高い。うちはプレー選択においてもハンドリングの部分においても、ミスができない。ミスが命取りになるんです。(失点は)相手に崩されたというより、規律の部分(が原因)。前節から課題にしていたのですが…。次はもっといい試合をして勝ちたい」

 確かな手応えも、感じていた。そもそも同大は全国優勝4回という関西の雄だ。

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