名物ブログの管理人は大体大HC。同大戦に見る「駆け引き」のおもしろさ。 (3/4ページ)

ラグビーリパブリック

指導者が理論を落とし込んだのではなく、指導者の持つ理論を選手が自分のものにして現場で実践している。そこに妙味がありそうだ。

「開幕した頃のタイダイといまのタイダイ。全然、違うチームになっていると思うんです。前半は大差の試合が続いて逃げたくなるところもあったと思うのですが、そこで真摯に向き合って取り組んでいけた。きょうは極端に言えば、僕が話をすることがなかった。練習でも、僕は練習の環境こそ提示しますが、あとは『こうしよう、ああしよう』と選手が話し合う」

 年間強化計画は「春は基本スキル、夏以降から戦術的練習」ではなく、「終始、基本スキルと戦術的練習を同時並行で」とする。常に基本をおろそかにしないまま、段階的に戦術理解を深めるためだ。受験勉強で言えば、単語や文法の基礎演習と過去問題への挑戦を均等におこなってゆくイメージか。

 もともと大体大は、強力なFWを前面に押し出す「ヘラクレス集団」として知られる。井上も対外的にはFW重視の方針を打ち出す。もっともいまのチームが本当に目指しているのは、すべてのプレーをバランスよくおこなえるマルチタスク型の集団だ。

 結局、リーグ戦5敗目を喫し、善戦に満足しない選手は悔し涙にくれる。その様子にも心の変化が見られたと、井上は語った。

「うちはモールが武器だけど、それでトライを取れなかったときにお手上げになるのは未成です。どこかを尖がらせると他で大きく崩されるので。いろんな所を同時に鍛えようとするとどうしても仕上がりは遅くなりますが、その方が選手も楽しいはずなので。いまは戦術を理解しながらやっているのが大きい。『こういうアタックも』という選手の提案にこちらが驚かされることもある。いま、どんな試合でも選手がおもしろいと言ってくれます」

 大体大卒業後、サラリーマンとクラブプレーヤーを務めながら兵庫医科大のラグビー部でコーチ業を始めた。

 2014年からは京都成章高のスポットコーチを務め、2015、16は関西トップウェスト加盟のリコージャパンでも指導に携わった。昨季から当時下部にいた母校のヘッドコーチとなり、中谷誠監督らとチームを強化する。

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