東京・人形町の名物お菓子といえば人形焼き。その中に、レトロでユニークな焼き菓子、その名も「戦時焼き」というものがある。
戦時焼きを製造・販売しているのは1907(明治40年)創業の板倉屋。地下鉄人形町駅から徒歩1分、水天宮前駅からも5分足らずで着いてしまう。創業時から連綿と作られてきた歴史ある一品だそうだ。
かつての軍旗のデザインを模してある
日露戦争の戦勝ブームにのって
板倉屋の現在の店主は藤井義已さん。初代から数えて3代目で、もとは乾物屋でもあった。人形町駅近くの現在の場所に人形焼き専門の店舗を1965年に構えてからも、はや50年が経つ。板倉屋創業の1907年といえば、1905年に終結した日露戦争の戦勝ムードが残っていた時代。しかし、当時はあんこがまだ貴重で入手しづらい時代。小麦粉・卵・はちみつなどで甘味を強くしたカステラ風の生地のみで焼き上げる方式で販売を始め、今に至る。15個入りが600円、10個入りが400円と価格もお手頃で、おやつ感覚で味わえる。
人形町通りに面した、昭和の風情が残る店構えが板倉屋だ
こちらが実際に購入してみた戦時焼きだ。さて、それぞれ何をかたどったものかおわかりだろうか。
戦前のおもちゃにありそうな、小さくデフォルメされた造形
戦時焼きでかたどられているのは大砲・戦車・装甲車・飛行機・鉄兜・ラッパ・銃・軍旗・背嚢(はいのう)の9種類。軍旗は日本陸軍で使われていたいわゆる旭日旗、背嚢は兵士が背中に背負った、小学生のランドセルの原型である。かつての軍国少年が憧れたであろう物ばかりだ。