短期集中連載 工藤會 野村悟総裁「獄中記」【後編】

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短期集中連載 工藤會 野村悟総裁「獄中記」【後編】

 裁判は検察官9人、弁護団7人という異例の態勢で幕を開けた。野村総裁は証言台の前に立ち、落ち着いた口調で無罪を主張した。北九州戦争を経て、親分の仇だった溝下先代と盃を交わし、第一の子分として尽くし続けた「俠の性分」が、そうさせたのか――。

 逮捕から5年、ようやく公判が開かれることになった。裁判のことは弁護団に任せてあるので、特に書くこともないのだが、今回の起訴内容について、私は無実であることは改めて書いておきたい。

※ ※ ※

 10月23日、福岡地裁の法廷に立った野村悟総裁は、前を向き静かに口を開いた。
「4つの事件、すべてについて無罪です」

 田上文雄会長も「関与も共謀もしていません」と述べた。長い拘置所生活で白髪は目立つものの、2人とも健康状態に問題はないようだった。

 今回の公判で審理されるのは、元漁協組合長射殺事件(平成10年)、福岡県警の元警部銃撃事件(同24年)、看護師刺傷事件(同25年)、歯科医師刺傷事件(同26年)の4件で、元漁協組合長射殺事件は殺人と銃刀法違反の罪、他の3件は組織犯罪処罰法違反(殺人未遂)の罪に問われている。起訴状などによると、野村総裁らは元組合長射殺に関与し、他の3件については配下の組員に犯行を指示したとされている。

 国内で唯一「特定危険指定」を受けている工藤會ツートップの裁判は、マスコミの注目度も高く、福岡地裁周辺ではメディア関係者などが慌ただしく行き来していた。また、傍聴は抽選となり、たった18席の傍聴券を求めて約300人が並んだ。公判は検察官9人、弁護団7人という異例の態勢で、来夏まで予定されている。元組員を含め、延べ90人以上の証人尋問が行われる見通しだが、大半は検察側の証人とみられる。

 一方で、元組合長の事件をめぐって、田上会長は平成14年の逮捕後に不起訴処分となっていることから、弁護団は「公訴権の乱用に当たる」とし、徹底的に争う姿勢を示した。

 後藤貞人弁護団長は「ひと言でいえば、異様な裁判です」と話し、「実質的には元組合長の裁判に新しい証拠はない。こうした中で、裁判官は“有罪バイアス”にさらされている(有罪の心証を持っている)と危惧する」とし、「公正な審理」を求めたのである。

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