皆さん、「粉もの」はお好きでしょうか。筆者は大好きです。
ご飯の魅力とはまた違った個性的な食感と、小麦粉を水で練って火を通せば食べられる調理の手軽さで広く親しまれている粉ものには、日本全国でさまざまなバリエーションが見られます。
その中でも、東北地方を旅行した時に食べた「ひっつみ」が強く印象に残っており、その話をしたところ、東北の知人が言いました。
「それは、ウチの方だと『はっと』って言うね」
同じものでも地方によって名前が違うのはよくあることですが、一体どんな理由で「はっと」とネーミングされたのでしょうか。
今回はそれを調べて、紹介していきたいと思います。
一、御「法度」説「……おぃ旦那、そいつぁ御法度(ごはっと)だぜ?」
法度とは元来「武家諸法度」のように広く「決まりごと」全般を意味する言葉ですが、普段はそんなお達しなどあまり意識していない?庶民たちは、特に厳格な「破ると罰せられる」レベルの禁令(規制)およびその対象について、お上への反抗心も綯(な)い交ぜに御法度と呼ぶようになりました。
そこで、この料理もお上が禁令を出したから御「法度(はっと)」と呼ばれたらしいのですが、別に贅沢品でもない(小麦や雑穀の粉を水でこねて茹でただけの)郷土料理を、なぜそうまで目くじらを立てるのでしょうか。