「酒は飲んでも呑まれるな」とはよく言ったもので、酒による不始末は古今東西、枚挙に暇がありません。
その不始末にも、後から振り返って笑い話ですむものから、二度と取り返しのつかない大失態まで様々ありますが、いずれにしても周囲がその尻ぬぐいに苦労させられるのが世の常。
そこで今回は、とある戦国武将の泥酔エピソードを紹介したいと思います。
城主は今日も酔っ払う時は戦国、関東の雄として知られた北条(ほうじょう)氏の部将・諏訪部定勝(すわべ さだかつ)は、武蔵国の日尾城(現:埼玉県小鹿野町)を守備していました。
この辺りは南西から甲斐の武田氏・北は越後から上杉氏が勢力を張り出している係争地で、険しい山々に囲まれているため守りやすいものの、決して油断は出来ません。
そんな西関東の重要拠点を任されているだけあって、定勝は多くの武功を立てて軍略に優れていたそうですが、酒癖の悪さが玉にキズ。
いつも酒を飲んでいたので、いざ城が攻められた時もたいてい二日酔いか、ひどい時はさっきまで呑んでいた勢いで敵中へ殴り込んでしまうムチャクチャぶり。
これではとても軍勢の指揮など執れないため、いつしか妻の遠山氏(※1)が甲冑を身にまとって采配を揮うのが習慣になり、諏訪部家中の者たちもそれを当然のごとく受け入れたそうです。