前回のあらすじ 戦国時代、日本の地で剣術を修めた外国出身の武士「李家元宥」のエピソード【上】
李氏朝鮮に生まれた李聖賢(イ ソンヒョン)は、9歳となった宣祖三十1597年8月、父・李福男(ボンナム)が日本軍との戦い(慶長の役・南原城の合戦)で討死してしまいます。
遺された母と幼な子に、どのような運命が待っているのでしょうか。
日本へ連行され、毛利輝元の御伽衆に「あぁ、父上!」
福男の討死を知った聖賢は、身も世もなく悲しみの声を上げました。しかし、母は気丈に聖賢を励まします。
「お前は武人の子ですから、泣いてばかりいて父の名を汚してはなりません。必ず生き延びて、敵に一矢報いるのです」
「はい!」
しかし、母子は間もなく毛利氏の家臣・阿曽沼元信(あそぬま もとのぶ)に捕らわれ、日本へと連行。毛利輝元(もうり てるもと)の元へ召し出されました。