テクノロジーの進化によって、かつてない速度で変わり続ける私たちの世界。
ここ数年、AIや5G通信がよく話題にのぼるが、その陰で忘れてはいけないのが、これらのテクノロジーをシステムに落とし込む技術者の存在だ。
『HumanITy ヒューマニティ』(幻冬舎刊)は、システム構築・保守を手がけるIT企業の現役社員たちが、共作して作り上げたプロジェクト型小説。工場へのIT導入によって製造業の現場、日本のものづくりの未来はどう変わるのか。国家的に注目されるITプロジェクトに潜入したスパイとの暗闘と、システム構築の現場で苦悩し成長していく技術者たちの姿を、現場を知る社員たちならではの視点を盛り込みながら描いていく。
この作品はどう生まれたのか?
そもそもなぜIT企業で働く社員たちが小説を書こうと思ったのか?
今回は執筆者の堀江悟史さん、藤田遼太郎さん、鎌田隆寛さん、野村常勝さん、山内靖子さんにお話をうかがった。その後編をお届けする。
――ITやシステム開発について知らない人に向けて書かれたという一方で、「同業者」がどんな感想を持つのか気になります。
山内:「あるある」だって言われますね。プロジェクトの中で発生する問題だとか、社内の様子やちょっとした会話とか、お客様からお叱りを受けるシーンなどは、実際の雰囲気が出ていると思います(笑)。
――構築したシステムのテストが思い通りに運ばずにスケジュールを再設定する場面は胃が痛くなりました。
山内:ああいったシーンもよくあることです。この作業が遅延するから、別の作業と入れ替えて納期を守れるようにしよう、とか、カットオーバー(システムを稼働させること)はお客様がシステムを利用しない3連休に設定しよう……といった調整は普段行っていることなので、そういったリアルな細かい描写を作中にも反映させています。