猿の顔に狸の胴体、手足は虎で尻尾は蛇……中世日本のモンスター・鵺(ぬえ。鵼、恠鳥、奴延鳥など)。
『平家物語』や『源平盛衰記』など様々な文献に登場し、夜な夜な不気味な声(※)で啼いては人々を脅かしたと言います。
そんな鵺の正体はトラツグミと考えられており、夜間「ヒィー、ヒィー」「ヒョー、ヒョー」などと啼く様子は、確かに薄気味悪いですね。
今回は、この鵺を退治した源頼政(みなもとの よりまさ)にまつわるエピソードを紹介したいと思います。
清涼殿に怪鳥あらわる時は平安、第76代・近衛天皇の御代、仁平(西暦1151~1154年)ごろのこと。天皇陛下のお住まいである清涼殿(せいりょうでん)に、突如黒煙が湧き起こって鵺が出現。何か笑っているような、あるいは苦しみ喘いでいるような啼き声が辺りに響きわたります。