まさか八百長?平安時代、源頼政が退治した怪物・鵺(ぬえ)の正体とは (4/5ページ)
「見事みごと……」
近くにいた左大臣の藤原頼長(ふじわらの よりなが)が、頼政に和歌を贈ります。
郭公(ホトトギス) 名をも雲居に あぐるかな
【意訳】雲間に啼くホトトギスの声は、そなたが名を上げたことを讃えておるぞ。
これに対して頼政は、即興で下の句を添えました。
弓はり月の ゐるにまかせて
【意訳】いえ、私はただ弓を張ったように丸い月を目当てに射ただけですから、大したことではありません。
「ゐる」という言葉を、矢を「射る」のと月が西へ「入る」のとかけた機転に喜んだ近衛天皇は、頼政に獅子王という太刀を褒美に与えます。
弓の腕前だけでなく、当意即妙の歌才まで備えている……そんな文武両道の頼政は大いに名を上げ、その後出世して源三位(げんざんみ)と呼ばれるまでに昇進したのでした。
めでたし、めでたし。