学ぼうと思えば、それを提供してくれる場が山ほどあるのがマルチ商法だ。しかも、そこには仲間がいる。ともに学び、ともに励まし、ともに喜ぶことができる。
当時の私はそう信じて疑わなかった。
知識欲や成長欲が高い人は、こうした学び場に居心地のよさを感じるかもしれない。
3つ目は、「自己評価の低い人」。
1つ目の「今の自分に満足できていない人」と矛盾するようだが、私はセットだと思う。
「本当の自分はこんなもんじゃない」
と息巻く一方で、
「どうせ自分なんて」
と自信がなくなってくる。強気と弱気はつねに心の中で拮抗しているものだ。
私は、「成功できるはず」という無根拠の強気に背中を押されてマルチ商法の世界に入った。努力が実を結び、成功を収めることができた。しかし、心のどこかでいつも弱気の虫を飼っていた。
そんな私を支えてくれたのが周囲の「いいね」だった。
アップライン(自分の上の人)に褒められる。傘下に尊敬される。傘下を褒める。アップラインを称揚する。上から下へ、下から上へ。そこら中に「いいね」が溢れていた。しかもその「いいね」はわりと本気だ。それもそのはず、傘下の頑張りは自分の収入増に繋がるのだから。彼らの売り上げの一部は、権利収入という形で自分の懐に入ってくる。だから自然と「いいね」に熱が入る。
不思議なもので、こうした関係を続けていくと嘘が真になった。受け取ったのは収入増を目論んだかりそめの「いいね」だとわかっているのに、本気の「いいね」だと勘違いするようになる。逆もまたしかり。自分を豊かにするための方便が、いつしか真摯な応援に変わっている。
みんなが認め合う。