小料理屋を営む藤原幸人のもとにかかってきた、一本の脅迫電話。それが惨劇の始まりだった。昭和の終わりに起きた「母の不審死」と「毒殺事件」の真相を明かすべく、故郷の新潟に向かう幸人とその家族たち。過去と現在の2つの物語が複雑に絡み合い、決して交わるはずのなかった運命が交錯する。そして、驚愕の真実が明かされていく――。
道尾秀介さんの最新作『雷神』(新潮社刊)が話題を呼んでいる。道尾さん自身も会心の出来と語る本作は、「全てのページが伏線」というべき緻密な仕掛けが散りばめられており、何度読んでも違った印象を与えてくれる一冊だ。
新刊JPは道尾さんに取材を行い、この物語の成り立ちや新しい表現への挑戦などについてインタビューを行った。前後編の2回構成でお届けする今回は後編だ。
(取材・文・写真:金井元貴)
■「ラストの一行を原稿の段階から出版するまで変えなかったのは初めて」――物語の舞台の一つであり、主人公たちの故郷である羽田上村は新潟県にある設定です。モチーフとなった地域はあるのですか?
道尾 :いや、日本地図でこのあたりという見当はつけていますが、完全に架空の村です。
――その村に住む人たちの新潟弁が印象的でした。
道尾 :新潟県の方言辞典を大量に読み込んで、事前に勉強しました。できあがったあとに新潟出身の方にも読んでもらったのですが、一か所も間違いがないと言われて嬉しかったです。
――実は私は新潟の上越地方に所縁がありまして、登場人物の新潟弁にリアリティを感じました。
道尾 :ありがとうございます。