あれは人生の中でどん底だった時……。
「こんな会社、辞めてやる! こんな上司の元では働けない! フリーランスになってやる!」
長年勤めた会社を退職し、フリーランスで生きていくため昼間は専門学校に通っていた私は、高額な学費を稼ぎつつ生活するため、夜の仕事をしながら土日は結婚相談所でバイトを掛け持ちしていた。
その頃は、おかしなくらいダメンズが寄ってきた。
「おお、神よ。どうして私にこんな試練をお与えになるのですか?」
と訴えたいくらいのダメンズが連チャンで続く。付き合ってみたら相手に借金があることが発覚したなんてことも……。
彼らとのデートは大抵チェーン店や安い居酒屋。自分がアルバイトを掛け持ちしている状況だったことから、たまには懐を気にせず、思いっきりおいしいものを食べに行きたいもんだ……なんて思ったりして。
そんな願いが天に届いたのだろうか。なんと年収ウン千万円のハイスペックな男が現れたのである。
彼に初めて誘われたディナーはミシュランガイドにも紹介されたレストラン。なかなか予約の取れない人気の店……。その素晴らしい店の個室で彼はこう言った。
「桃子さん、僕は貴女の夢も希望も何でも叶えてあげられます。あなたの周りの男達にはできなかったことが僕にはできます。これまでさんざん苦労してきたじゃないですか。もう、自ら苦労など選ばなくても楽しい道を選べば良いじゃないですか。差し伸べられている手が貴女の目の前にあるのです。どうぞこの手を掴んでください」と、交際を申し込まれたのだ……。
普通なら「コレって宗教の勧誘か?」と思ってしまうところだけど、おいしいコース料理とドンペリに酔いしれていた桃子は「彼こそ運命の相手かも」と思ってしまったのだった。
■彼と付き合えば「自分はプリティ・ウーマンになれる?」
彼のその申し出を「神さまからのご褒美」と信じてしまった私。