前回見た通り、家屋の相続税評価は非常にシンプルですが、疑義がある項目として資本的支出をした場合の取扱いがあります。資本的支出とは、法人税や所得税などでよく問題になる支出で、簡単に言えば固定資産の価値を高めたり、使用可能年数を増やしたりする支出を言います。
価値を高める、といった点からも分かる通り、法人税などでは資本的支出があると、その財産価値を決算書でも表現するために、その支出額を対象になる固定資産の取得価額に加算することとされています。この考え方は相続税評価でも重要になりますが、固定資産税評価額は過去の数字ですから、資本的支出の金額があればそれを固定資産税評価額に加算しないと、正しい相続税評価ができないと考えられています。
この点、国税の通達などに明記はありませんが、国税庁ホームページにおいて以下のような取扱いが記載されています。
■資本的支出があった場合の相続税評価額
国税庁ホームページによると、増改築等をした家屋の状況に応じた固定資産税評価額が付されていない場合、その家屋の価額は、その家屋の固定資産税評価額に一定額を加算した金額を相続税評価額にすると記載されています。
ここでいう一定額ですが、その増改築等をした家屋と状況の類似した付近の家屋の固定資産税評価額を基準に、その付近の家屋との構造、経過年数、用途等の差を考慮して評価した価額とされます。
ただし、その例外として、状況の類似した付近の家屋がない場合には、その増改築等に係る部分の再建築価額から相続開始日等の日(相続税評価額が計算されるタイミング。専門的には「課税時期」といいます)までの、償却費相当額を控除した価額の100分の70に相当する金額が、この一定額とされます。
なお、上記の例外の例外として、課税時期から申告期限までに、その家屋の増改築等を踏まえた固定資産税評価額が付された場合には、その固定資産税評価額を基準として評価されることになります。
■一般的な修繕などは対象外
ところで、これらの取扱いは、資本的支出や増改築があった場合の取扱いです。これらと似た支出として、いわゆるメンテナンスコストと言われる修繕費があります。
資本的支出があった場合の相続税評価額について元国税の税理士が解説
2021.09.28 19:00
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