法人税の実務上、問題になることの一つに建物の取壊費用の取扱いがあります。建物を取り壊す訳ですから、当然ながら原則としてそれは会社の損失となります。しかし、この損失が認められない場合があります。具体的には、建物が建っている土地について、その土地を利用するために、建物ごと購入する場合です。この場合には、建物を利用することを目的としているのではなく、土地を買うために建物も購入する訳ですから、税務上の取扱いとしては、その建物の取壊費用は、土地の取得価額に含めるべきとされます。
■「土地を買うため」の判断は
土地の取得価額に含めるとなると、建物や機械などに認められる減価償却(使用した分だけ経費にできるという制度)も使えず、実際のその土地を売るまで経費にすることはできません。このため、節税という観点からも、「土地を買うため」に建物を購入したか、その判断が重要になります。
この点、国税の通達によれば、土地建物を購入してから「おおむね1年」以内に建物を取り壊したような場合には、これに該当するとされています。ここで注意したいのは、「おおむね1年」であり、「1年」ではないということです。
■実質判断が必要になる
この点、具体例を挙げます。「土地を買うために」建物も買った後、1年超放置してから建物を取り壊したとします。この場合には、1年という時間は経過していますが、目的はあくまでも「土地を買うため」なので、この場合の建物の取壊費用は土地の取得価額に含めるべき、と判断されることになります。
その逆で、「土地を買うため」ではなく、土地建物を利用する目的、例えば第三者に賃貸する目的で買ったものの、一向に借手がつかないことから、土地を有効活用するという方針に切り替えて1年以内に建物を取り壊した場合には、土地の取得価額に含める必要はないと考えられます。1年内に取り壊していますが、そもそもの目的は「土地を買うため」ではないからです。
もちろん、この場合には税務署から厳しく追及されますので、「土地を買うため」ではなく、後発的な理由で建物を取り壊したことについて、きちんと説明できるようにしておく必要があります。
法人税で争点になりがちな「建物の取壊費用の取扱い」について元国税が解説
2021.11.30 19:00
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