江戸でしか起こらない奇病
かつて、江戸っ子たちを恐れさせた「江戸わずらい」と呼ばれる奇病がありました。
それは、江戸で生活していると罹患し、江戸を離れると回復するという、まるで風土病のような奇病だったのです。死に至ることすらあった、この病の正体はなんだったのでしょう?
「江戸わずらい」の症状は次の通りです。江戸を訪れた地方の大名や侍を中心に、長期滞在をすると手足がしびれ、足元がおぼつかなくなり、怒りっぽくなるのです。
人によっては重症化すると寝込んでしまい、心不全を起こして死亡しました。実は、時の権力者である徳川家光も、この病で命を落としています。
ただ、「江戸わずらい」によって体調不良に陥った人たちも、故郷に戻ってしばらくすれば何事もなかったかのように回復したといいます。このことから、「江戸わずらい」と名前がついたのでした。
さて、では「江戸わずらい」の原因は何だったのかというと、それは「白米」でした。江戸っ子たちは白米ばかりを食べ過ぎていたため、江戸わずらいに罹患してしまったのです。
白米ばかり食べていると…「白米ばかりを食べ過ぎたせいで起きる病気」と言えば、ピンと来る方も多いでしょう。そう、脚気(かっけ)です。