シリーズ読者投稿~あの時、あなたに出会えなければ~ 投稿者:Rさん(千葉県・20代女性)
梅雨のある日。電車に乗っていたRさんは、急に体調を崩してしまった。
扉の横に寄りかかり、なんとか持ちこたえようとしたが、ついには耐えられなくなりその場にしゃがみ込んでしまう。
すでに視界は真っ暗になっていた。そんな彼女の耳に「おいでおいで」と呼ぶ声が聞こえてきたという。
<Rさんの体験談>
数年前の梅雨のある日、私は都内に向かう快速電車に乗りました。
雨の日で、混雑した車内には湿った空気が充満。そんな中で、私は軽く脱水を起こしたのか、気分が悪くなってしまったのです。
声がして、周囲を見渡すと...快速電車のため一駅ごとの距離が長く、途中下車しようにも次の駅はまだしばらく先。扉の横のスペースに寄りかかっていたのですが、その内に立っていることもできなくなり、しゃがみ込んでしまいました。
うずくまっていては周りの人に心配される――そう思い、せめて顔だけは上げて平気なふりをしようとしました。でもその時にはもう、視界が真っ暗になっていたのです。
そんなとき、どこからか声がしました。
「おいでおいで」
私を呼んでいるようでした。
周囲を見回すと、目の前に1本の道ができているのがボンヤリ見えます。立っていた乗客の人たちがみんなで開けてくれた道でした。