昔から「悪事千里を走る」とはよく言ったもので、バレないだろうと思っていても悪いことに限って異様なスピードで情報が伝わっているのがお約束。
天網恢恢疎にして漏らさず、しっかりとその報いを受けることになります。
今回は『太平記』より鎌倉時代末期、幕府滅亡に際して北条高時(ほうじょう たかとき。第14代執権)の息子を託された五大院宗繁(ごだいいん むねしげ)を紹介。果たして彼はどんな末路を辿るのでしょうか。
恩賞に目が眩み……時は元弘3年(1333年)5月。百数十年にわたって武士たちを統治していた鎌倉幕府がいよいよ滅び去ろうとしていました(元弘の乱)。
「……右衛門太郎(宗繁)はおるか!」
「は、ここに」
「そなたを永年の忠臣と見込んで頼みがある」
「何なりと」
嫡男・邦時を託す高時(イメージ)歌川豊斎「新歌舞伎十八番の内 高時」
「我らはここに相果てるが、太郎(高時の嫡男・相模太郎こと北条邦時)に望みを託したい。必ずや守り抜き、いつか機あらば捲土重来を果たせ」
「御意。