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勝手に朝鮮半島から満州へと兵を進めた林銑十郎は、国内で「越境将軍」と持てはやされて、お咎めなしとなりました。この名声を背景にして、彼は陸軍大臣へと出世していくことになります。
1934年1月には齋藤内閣の陸軍大臣に就任し、その後の岡田内閣でも陸相を務めました。しかし、陸軍内では不穏な空気が漂い始めます。
もともと林はしっかりした権力基盤を持っていなかったため、皇道派の親友である真崎甚三郎大将の協力を得てきたのですが、この頃二人の関係は悪化していました。
そこで林は、政策最高職員である陸軍省軍務局長のポストに、統制派の永田鉄山少将を起用します。