日本陸軍の上陸作戦能力
日本陸軍は、太平洋戦争が始まる前の段階で、すでに世界でも屈指の上陸作戦能力を持っていたと言われています。その実力は、米軍が「船から陸地への上陸作戦技術を完全に発展させた最初の国」と評価したほどでした。
実際に、マレー半島での上陸は驚くほど速く、歩兵6個大隊を30分で揚陸したという記録も残っています。けれども、これほどの高い技術を持ちながら、日本陸軍は太平洋戦争で補給に失敗し、戦線が崩壊していきました。これは何故でしょうか。
その核心には、揚陸作業という地味で重要な工程と、戦略環境の変化がありました。
当時のアジアや太平洋の島々は、港湾設備がほとんど整っていませんでした。大型の岸壁もクレーンもなく、船を直接つけて荷物を降ろすことができなかったのです。
そのため日本陸軍は、沖合に船を停め、艀に積み替えて運ぶ沖荷役を主力としました。
これは効率が落ちる作業ですが、日本陸軍は専門部隊を整備し、体系的な揚陸能力を築き上げたのです。