映画『遊星からの物体X』の「それ」登場シーンの製作秘話 (3/5ページ)
1981年の夏、サンフェルナンド・バレーのユニバーサル撮影所で『遊星からの物体X』の撮影は本格的に始まりました。極寒の地に見せるため、屋外は38度以上あったにも関わらず、サウンドステージ(映画撮影用の防音装置を施した舞台)を4度程度に設定したそうです。
カーペンター監督が俳優達とサウンドステージ内に作った基地の中で撮影を始めた頃、近くではボッティン率いるエフェクトユニットがクリーチャー作りに励んでいました。
腹から登場に続いてヘッド・スパイダーの誕生といったシーンのためにヴァンス・ノリス演じるチャールズ・ハラハンは、ボッティンとエフェクトチームと10日間を共に過ごし、彼の頭部、腕、脚といったパーツの型をとったそうです。こうして、本人そっくりのパーツが完成。
腹部に至っては、ハイパーガラスのダミーの上に実際のハラハンの体毛の生え方が忠実に再現されました。
その出来栄えたるや、共演者たちもかなり近づくまでダミーだと気付かなかったほどだったというから驚きです。
ハラハンの腹が開いてドクター・コッパーの両手が噛みちぎられるシーンは、ジョー・キャロンという両腕の無い役者にリチャード・ダイサートに似せた特殊マスクを被らせて撮影しています。
腹に引きちぎられる両腕は、ワックスで出来た骨とゼラチン、ゴムで作られています。このシーンは血糊や突き出した腹といった過剰なゴア描写を入れることで、観客の注意をドクター・クーパーから逸らし、俳優の入れ替わりに気付かせないようにしたそうです。
しかし、このマスクも驚くほど精巧にできていたため、フォークス役のジョエル・ポリスはコッパー役のリチャード・ダイサートに瓜2つの両腕がない人物を探し出したのだと思っていたのだとか。
腹からエイリアンが登場するシーンは1テイクでの撮影が計画されていました。